物流がわかる

世界最大のEC企業「アマゾン」が物流でチャレンジ続けるワケ イー・ロジット 代表取締役社長 兼チーフコンサルタント 角井亮一

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 2位以下には、マイクロソフトのAzure(アジュール)、グーグルクラウド、アリババクラウド、IBMクラウドと続きますが、これら4社のシェアを合計してやっと33.1%ですから、AWSの強さがわかると思います。

 AWSを提供するアマゾンは世界最強のシステム会社でもあるのです。

 加えて、アマゾンは研究開発に積極的な会社としても有名です。

 アメリカのコンサルタント会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)では、研究開発に多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1000社を「グローバル・イノベーション1000」として発表しています。その2018年調査によると、アマゾンは2年連続のトップで約226億ドル(約2.5兆円)、2位がグーグルの親会社のアルファベットで約166億ドル(約1.8兆円)でした。

 アマゾンでは、ここ数年は売上高の10%以上を研究開発に投じており、2018年度は売上高比12.4%の約288億ドル(3兆円超)にのぼっていました。アルファベットの2018年実績は約214億ドル(約2.4兆円)でしたから、アマゾンの3年連続トップは間違いのないところでしょう。

 アマゾンには忘れてはいけない、もうひとつの顔があります。

 創業者であるジェフ・ベゾスは、「われわれはほぼロジスティクスカンパニーである」と強く語っています。

 アマゾンは「地球上でもっともお客様を大切にする企業」。お客様が買いたいものを何でもオンラインで見つけられるようにすることを目標にしています。しかし、それだけで終わりではありません。ほしいものが見つかれば、「すぐにでも手元にほしい」というお客様の声をどうやって実現するか、そのための投資、テクノロジーの開発であれば、採算度外視でも、やり続けるのが、アマゾンだと思います。

 その一端を示しているのが、売上全体に占める物流コストの割合、物流費率の推移です。

 営業ベースで黒字化を達成した2002年ごろには物流費率は10%近くかかっていましたが、2009年までは年々、配送費用(shipping cost)を効率化し、7%程度に引き下げました。ところがそこを境に、配送費、物流費率ともに、再び右肩上がりに転じています。これは、物流の効率化が進んでいないということではなく、それ以上に新たな配送方法にチャレンジし続けていることを意味しています。

 2015年には、配送費が100億ドルを超えました(約115億ドル、約1.3兆円)。物流費率も約12%に上昇。2018年の配送費は277億ドル(約3兆円)に達しています。

 アマゾンでは、世間をあっと言わせるようなことから、業界のエキスパートをうならせるものまで、毎年のように新しい話題を提供しています。とくにここ数年は、アメリカだけでなく、日本国内でも、数多くのニュースが飛び交っています。その中から、物流に関わるトピックをあげると表のようになります。

 いま人材の確保は日本中の至るところ、あらゆる業界で喫緊(きっきん)の課題として取り組まれています。とりわけ物流の世界では、配送ドライバーの過重労働をはじめとする労働環境の問題、重量物を扱うことからくる年齢および体力的な問題に、国が推し進める働き方改革、人材確保のためのコスト負担増などもあり、現場の運用環境は年々、厳しくなっています。

 アマゾンではこうした課題に対して、どのような取り組みを進めてきているのか、そうした視点から、同社の物流戦略を考えていきたいと思います。

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