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若手が指摘できないシニアの恐い顔と態度 自覚すれば改善は容易 トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 今回は、私が講師としてミドル層やシニア層向けの研修を提供する際、しばしば気になることを述べたい。若手は、なかなか指摘しづらいようだが、実はシニアの表情と態度が恐いのである。

 私が見る限り、40代より上のミドル・シニア層の方たちの半数くらいは「腕組み」をしている。講義中だけではなく、グループディスカッションをしている際もである。下手すると全員が腕組みしながら議論していることもある。

 腕組みとセットとなるのが、お尻を前にずらすような浅い座り方だ。のけ反って座るとでも言えばイメージが沸くだろうか。腕組みをして、のけ反って座っているため、脚は前のほうに出し、その脚を足首あたりで重ねていることも多い。場合によっては、靴やサンダルを脱いでもいる。

 そういう人が多い中で研修テーマが「部下の育て方」だったりすれば、私もそこに軽く触れてみる。「部下の話を聴くときに腕組みしたり、椅子に座る際にのけ反っていたりしていませんか?あれ、部下は、とても話しづらくなるんですよねぇ」と笑いながら言ってみる。すると、大半の方が突然、居住まいを正される。「あ、今は、お好きな格好でいいんですけど、無意識のうちにそういう姿勢で部下の話を聴いているかもしれない、ということは覚えておくとよいと思います」とコメントする。

 この腕組みやのけ反って座るという“態度”は、若い人にはほとんど見られない。たとえば、新入社員研修では、皆さん、背筋を伸ばし、腕も机の上に乗せ、美しい姿勢で座っている。20代、30代・・・と年齢を重ねるにつれ、徐々に、腕組みする人が増え、40代、50代もなると腕組み比率がとても高くなる(のけ反るのもセットだ)。

 あるとき、50代の管理職の方が笑いながらこうおっしゃった。「お腹がひっかかって普通に座れないんだよね」「腕組みすると、ちょうどお腹の上にのって具合がいい」。なるほど、腕がぽこんと出たお腹の上に具合よく乗っかるのかとその場は納得したが、加齢に伴う筋力低下が原因という話もあるようだ(参照:日経ビジネスの記事『ほおづえ・腕組みは筋力低下のサインだった!』)。

 とはいえ、シニア同士なら気にならないことでも、相手が若手だった場合は、その見た目だけで威圧感を与える可能性がある。

 首から上についても要注意だ。50歳を超すころから、普段の表情が険しい(ように他人から見える)人が増える。ときどき、「怒っているのかしら?」「不機嫌なのかな?」と思ってこちらもびくびくするのだが、会話してみると、そうでもない。「今、皆で、このグループで、こんな話題で盛り上がっていたんですよ」「田中さんの話を聴きながら、なるほど~と思っていたんです」などと好意的な発言をされる方でも、案外、表情は険しかったりする。

 私も50代半ばを超えたので、実感として分かるのだが、表情の険しさに悪気はない。加齢によるものが多いと思う。まずは視力に限界を感じるようになる。細かい資料は見づらくなるし、文字に焦点が合うまでのスピードも落ちてくるので、つい、目に力が入ってしまう。眉間(みけん)に皺(しわ)がよるのも、見えづらいことに起因していると思うが、傍から見ると、「険しい顔」「怒ったような表情」に見えるのが困りものだ。以前も書いたが、歳を重ねると、皮膚の張りがなくなり、ほおも口角も下がる。これが、また不機嫌そうに見える原因となる。

 人は、自分の表情や全身の見た目について普段ほとんど意識することがないので、自覚がないまま、周囲からは、「恐い顔」「不機嫌そう」「偉そう」と思われていることにも気づけない。

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