愛されシニアを目指すスキルアップ道場

若手が指摘できないシニアの恐い顔と態度 自覚すれば改善は容易 トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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シニアは普通にしていても「恐い顔」「不機嫌そう」と思われる

 若手からもこんな話を聴くことが多い。

 「うちの上司、顔が恐いんですよねぇ」

 「50代の人って、不機嫌そうに見えることが多いから、よほど重要なことがないかぎり、話したくないんですよね」

 「(シニアの方は)人を寄せ付けない雰囲気を醸し出していますよね」

 若手がシニアへ相談に行ったとしよう。シニアが椅子にのけ反って座り、眉間にしわを寄せて、口角を下げ、腕組みしていたら、相当な心臓の持ち主でない限りは、恐いと思うのではないか。

 だから、人と会話する際、相手が若手でなくても、ときどきは、のけ反っていないか?腕組みしていないか?と自問自答してみることだ。会議に参加しているとき、部下の報告を聴くとき、誰かの相談を受けるとき、自分はどんな居住まいでその場にいるか、今一度振り返ってみてほしい。もし腕組みに気づいたら、意識的に腕をほどく。眉間に力を入れていたら力を抜く。それだけで、うんと話しやすいと感じさせることができるはずだ。

 実は、シニアと話している当人だけでなく、周囲にいる人も会話の様子を案外よく見ている。「あのシニア、人と話すとき、どうしてあんな風にのけ反って腕組みをして聴くのだろう。あれ、感じ悪いよね」などと陰で言われることだってありうる。

 人は「○○さん、顔が恐いですよ」「態度が感じ悪いですよ」などとそうそう言ってはくれない。年齢が近く、相当仲が良ければ教えてくれる人もいるかもしれないが、親の歳ほどに年齢差があるシニアに若手がフィードバックするのは、まず無理だ。

 だからシニアは、自分で自分を律するしかないのだ。

 思えば、人が寄りつく経営者や管理職は、たいていの場合、柔和な表情だし、座り方も姿勢がよい。自己演出というか、自己管理が徹底されているのだろうと推察する。

 表情や態度など、他人からどう見えるか、は、実はセルフマネジメントができる部分である。

 私は、無意識のうちに真顔になりがちな上に、加齢とともに口角が下がってきていることを自覚するようになった。スマホのカメラが自分を撮影する状態にたまたまなっていて、そこに映った自分の表情に愕然(がくぜん)としたことが何度かある。

 「うわ、こんな顔で仕事しているのかもしれない」とぞっとした。

 自分でそう思うのだから、年齢差のある若い後輩たちは、「あんなに能面のような無表情でいなくても」と思っていることも考えられる。

 だから、最近は、とにかく、できるだけ口角をキュッと上げるようにしているのだが、表情筋を鍛えていないからか、これが非常に疲れる。顔は脱力させるととても楽である。でも楽に流れたら、どんどん恐い顔になるし、偉そうにも見えるはずだ。年齢が高いだけでも、若手には「威圧感」を与えるのに、見た目も偉そうだというのでは、目も当てられない。

 愛されシニアになるのは簡単ではない。

 寄る年波には逆らえないが、せめて、頑張って意識しながら口角を上げ、眉間の力を抜き、皆に話しやすいと思われるよう、腕組みもせず、のけ反りもせず、そういう人になれるよう、シニアの皆さん、ともに努力を重ねようではありませんか。

シニアを部下に持つ管理職へのメッセージ

 「上司」というのは、年齢とは関係がない「役割」である。そして「部下」を指導することは上司の役割の一つだ。だから、年上であっても部下の表情や態度が望ましいものでない場合は、きちんと指摘してほしい。

 「○○さん、話を聴くときに、腕組みしていると、私は威圧的に感じます。腕をほどいてもらっていいですか」などと笑顔で伝えてみる。

 上司であるあなた自身が年上部下に威圧感を感じる、話しづらいと思うのであれば、それを率直に言うことが大事だ。

 「○○さんは話すのときの表情が少し険しいように私には思え、私、ビビっちゃうんですよ」と率直に伝える。言われたシニアは、それなりにショックを受けるとは思うが、本人の自覚がないまま、陰で若手から「○○さんっていつも不機嫌に見えるようね」などと思われているよりはよい。気づいたとき、早めに対処することが望ましい。

 シニアに物申すのは年下上司にとって勇気のいることであるが、それも管理職としての修行の一つだと思い、ぜひとも頑張っていただきたい。
田中淳子(たなか・じゅんこ)
1963年生まれ。トレノケート株式会社 シニア人材教育コンサルタント、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本DECに入社、技術教育に従事。1996年より現職。新入社員からシニア層まで幅広く人材開発の支援に携わっている。著書『ITマネジャーのための現場で実践!部下を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)など多数。ブログは「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。フェイスブックページ“TanakaJunko”。
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キーワード:人事、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修、働き方改革

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