TRAVEL TECHで実現する地方創生

TRAVEL TECHで実現する地方創生/最先端テクノロジーと連携で実現する地方創生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

■■セッション  TRAVEL TECHで実現する地方創生(つづき)
■企業講演 デジタルを活用した顧客価値体験の向上 ~世界・日本の観光(旅行・ホスピタリティー)技術最新動向とデモンストレーション~

「面」の体験価値を提供

セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 公共・公益営業本部長 関 弘毅 氏

 当社はCRMに関わるクラウドアプリケーションやプラットフォームの提供で高いシェアを獲得している。顧客接点に関わる道具立てが用意されたアプリケーション基盤なので、ユーザーは迅速かつ容易に導入や運用ができる。

 ある調査によると、約8割の顧客が「体験は企業の製品・サービスと同じくらい重要」と回答している。一方で約半数が「多くの企業は良い体験を提供できていない」と回答しており、体験への期待と提供者側のギャップが大きい。様々なデジタルがつながる基盤はできたが、顧客と提供者側の「思い」の連携ができていない矛盾が生じている。

 CX(顧客体験価値)とは、体験前の準備や体験後のフォローを含めた、企業とのやり取り全てにおける主観的評価の積み重ねだ。顧客は「点」ではなく「面」の体験価値を望んでいる。

 顧客体験の例を紹介したい。「顧客が旅行を検討中、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用し、タイミングよく希望のツアー情報のあるサイトへ誘導」「チェックイン後の余白時間に合わせて、モバイルアプリのプッシュ通知で空きのあるオプショナルツアーを提案」など、デジタルと人の力を融合して高いホスピタリティーを生み出すことが可能だ。

 6000万人のインバウンド獲得のために当社がサポートできることは少なからずある。CXを高める顧客とのつながり方や送客力のあるグローバルツーリズム連携、スマートリゾートシティー作りなど、様々な形で地域観光を支援したい。

■企業講演 TRAVEL TECHで実現する食の観光コンテンツ化 ~チャット型AIレストランメニュー「Satisfood」~

食を最高の観光体験に

Super Duper 代表取締役 鈴木 知行 氏

 日本の食は強力な観光資源だ。外国人旅行者が日本で楽しみなことの1位は食だが、訪日中にコミュニケーションで最も困った場所は飲食店だったという調査もある。寿司店では何を頼めばいいか分からず、知っているネタしか頼まなかったり、妥協してコースを注文したりした訪日客は多い。訪日客の不満に対する認識や対応力、人材不足が原因で、多くの飲食店では結果として顧客満足度も客単価も上がらず、売り上げロスにつながっている。

 当社は外国人旅行者の食のコミュニケーションギャップを解決するプラットフォームサービス「Satisfood」を提供。メニューの翻訳だけでなく、食べる順番や食と酒の組み合わせ、こだわり、旬の食材などの文化的翻訳も行う。AIを活用したチャットで「次はこのメニューはいかがですか」などの提案もできる。QRコードを読み込むかWi‐Fiに接続するだけ。飲食店はタブレットなどの初期導入が不要だ。

 「Satisfood」は飲食店の働き方改革にも寄与する。外国人対応や専門知識の提供はA Iに任せ、笑顔の接客に注力できる。導入店からは業務改善やスタッフの負担軽減に役立ったという声や「客単価や集客率が上がった」「飲食店のエリアランキングで1位になった」という声も。「Satisfood」で収集した閲覧履歴などのデータを活用すれば、来店客のニーズに沿ったメニュー開発も可能だ。課題が多いがチャンスも多い日本の飲食店を支援し、経済効果の向上に貢献したい。

■■セッション 最先端テクノロジーと連携で実現する地方創生 ~スタートアップと大手企業、地域と官民の連携が加速するイノベーション~
■パネルディスカッション 最先端テクノロジーと連携で実現する地方創生

◆パネリスト

日本政府観光局(JNTO)企画総室 デジタルマーケティング室 室長 吉田 憲司 氏

陣屋 代表取締役 女将 宮崎 知子 氏

Data Strategy 代表取締役CEO 武田 元彦 氏

電脳交通 取締役/COO 北島 昇 氏

WAmazing 代表取締役社長/CEO 加藤 史子 氏

◆コーディネーター

平川 健司 氏

インバウンドと地方つなぐサービス提供

 吉田 JNTOは2017年に地域プロモーション連携室とデジタルマーケティング室を立ち上げた。使命は海外から日本への誘客で地方連携の強化も軸になる。例えば、JNTOとして初めて地域から体験型コンテンツを収集し、パンフレット「訪日体験100」を作成してPR。インバウンド向けのウェブサイトマニュアルも作成。20年にはインバウンド4000万人を目指す。

 武田 豊岡・城崎温泉を支援している。16年に豊岡版DMOを設立。コア事業は情報発信のほか宿泊予約もできるウェブサイト運営で、当社は戦略・実行を支援している。例えば温泉の訪問客を城下町・出石まで出向かせる施策がある。コンセプト仮説を観光客に複数見せて反応を調査し、結果を踏まえてキャンペーンを設計する。調査に基づく改善を積み重ね、サイト流入や宿泊予約流通額は毎年増加している。

 加藤 インバウンド向けの観光プラットフォームサービスを運営している。買い物、宿泊、交通、飲食等をスマホで情報発信から予約・購入までできる。個人旅行者のサイト利用を増やすため香港・台湾からのインバウンド向けに空港での無料SIMカード配布を開始した。空港に設置した専用機にQRコードをかざすと本人認証されてSIMカードが出てくる。全国22の空港でサービス展開中だ。ほかにスノーリゾートと直接契約しリフト券、宿泊、レンタル、保険等を申し込める事業も行っている。

技術の進化により多分野でIT化進展

 宮崎 陣屋は神奈川県秦野市にある創業101年の旅館だ。09年に事業承継し情報の見える化、PDCAサイクル高速化、業務の効率化に取り組んだ。また予約管理、顧客管理、社内SNS、勤怠管理、売り上げ等を一元管理できる旅館システム「陣屋コネクト」を自社開発した。経理業務はアウトソーシングして社内の負担を圧縮。売り上げは9年間で約2倍に増加した。陣屋コネクトは全国約340施設の導入実績がある。

 北島 日本のタクシー業界は市場縮小、高齢化、IT化の遅れ等の課題がある。都市部ではタクシー配車アプリも普及しつつあるが技術的な問題はある。またアプリ経由の配車は法律上運転手には応える義務がないという課題もある。電脳交通は徳島の小さなタクシー会社が始めた企業でタクシーの配車業務をシステム化した。注文を受けたオペレーターが配車する際にタクシーの現在地を見ながら手配できる。

 平川 工夫したことはあるか。

 武田 最初に小さな実績を作り改善点を数値化して示した。

 平川 今後の課題は何か。

 吉田 良い観光資源にアクセスしやすい交通の整備は必要だろう。

 加藤 インバウンドに偏見を持たず受け入れてほしい。スキーリゾートはスキー上級者ではないアジアからの客が増えている。

 宮崎 従業員の高齢化でITへの拒否反応もある。ITは毎日使えばできるようになる。

 北島 運転手の賃金体系や経営自体をどう変えるかも課題だろう。

 平川 地域発の使えるITツール活用をぜひ検討してほしい。

主催:日本経済新聞社

特別協賛:東京センチュリー、セールスフォース・ドットコム、スーパードゥーパー

協賛:三井住友ファイナンス&リース、スマートウエルネスコミュニティ協議会、清水建設、マイナビ、九州フィナンシャルグループ

後援:内閣府、観光庁

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。