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保険とSDGsの共通項 世界覆うリスク 発見と対処カギ

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 国連が打ち出したSDGs(持続可能な開発目標)と、いざというとき頼りになる保険商品。一見とくに関係がないように見えるこの2つには、とても大切な共通点がある。どちらも未来の私たちの暮らしに、どんなリスクが潜んでいるかを考えることを出発点にしているからだ。そして保険には、地球規模の問題の解決に向けて果たすべき役割がある。

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社会の変化察知 人々に安全網を

 SDGsは今の経済や社会のモデルをこの先も続ければ、いずれ世界に深刻な影響を及ぼしかねないとの危機感が背景にある。保険会社はこの難題への対処法を示すことができる業界の1つだ。

 世界を覆うリスクは様々にある。例えば世界経済フォーラムは2019年1月に開いた年次総会(ダボス会議)に先立ち、「グローバルリスク報告書」を発表した。そこで?年に発生する可能性が高いリスクとして掲げられたのは、異常気象や自然災害、サイバー攻撃など。悩ましいのは科学技術や経済力が増しても、必ずしもリスクが小さくならない点だ。実態はむしろその逆という側面さえある。

 インターネットの普及は国境を越えた人々のコミュニケーションを可能にし、情報収集や金融サービスなどの利便性を飛躍的に向上させた。人工知能(AI)の登場はこうした変化を一段と加速させ、社会の隅々まで恩恵を広めつつある。だが、この同じシステムがスマートフォンやパソコンへのウイルスの感染などの形で日常生活や企業活動を脅かし、サイバー攻撃では国家レベルの脅威となる。

 同じことが経済成長に関しても言える。中国をはじめとした新興国の台頭は、これまで発展途上にあった国の人々の暮らしを豊かにし、貧困層を劇的に減少させた。半面、大規模な自然災害や異常気象、さらにテロのリスクがひとたび現実のものとなれば、巨大な経済損失が発生する恐れがある。技術革新や経済発展のプラスの面はもちろん評価すべきだが、社会の変化に伴って新たなリスクが生まれつつある点からも目をそらすべきではないだろう。

 ではそこで保険会社はどんな役割を果たすことができるのか。例えば自動車保険は今や社会になくてはならない経済インフラだ。だが言うまでもなく、それは自動車が誕生し普及したからこそ求められた保険であり、自動車社会の進展に伴って商品内容も高度になってきた。保険はたんに事故が起きたときに損失を補償する金融サービスではない。社会の変化の波頭をとらえ、リスクを分析し、企業や個人にセーフティーネットを提供する。

 そして今、最も求められているのが、リスクを抑える機能だ。

 SDGsは我々が何を選択するかによって、世界には異なる未来が待っていることを示した。それをよりよいものにするために、保険会社に求められていることは多い。(編集委員 吉田忠則)

サイバー攻撃や異常気象、あらゆる困難想定――
 個々の国や企業がやっていることは自身にとっては最適な行動に見えても、全体の最適を損なう結果を招いてしまうかもしれません。SDGsが打ち出されたことで、こうした危機感を世界が共有することができました。とくに素晴らしいのは、全員参加型の取り組みだという点です。それぞれの国、民間、個人などすべてのステークホルダー(利害関係者)が共通の目標に向かい、自分に何ができるのかを考えて活動するのです。
 では保険会社として事業を継続するうえで何を目指すのか。SDGsを道しるべとし、2018年度から始まる中期経営計画「Vision2021」をまとめました。「元気で長生き」「事故のない快適なモビリティ社会」「新しいリスクへの対処」「気候変動の緩和と適応」など7つの課題を掲げました。持続可能で回復力のある社会を30年に実現するのが目標です。
 それを視野に入れた商品やサービスをすでに提供しています。企業などがサイバー攻撃を受けたとき、セキュリティーサービスを受ける費用の一部を補償する商品を開発したのはその1つ。東京大学や芝浦工業大学と連携し、気候変動による世界の洪水リスクに関する研究も始めました。銀行口座を開けない新興国の貧困層を対象に、傷害保険などに加入できるサービスも準備しています。
 重要なのは持続可能な社会でないと、損害保険は成り立たないという点です。もし社会の先行きに展望がなければ、どうなるでしょうか。「守るものは何もない」と思っている人には、保険は要らないのです。そして日本の発展を持続可能なものにするには、地方が元気になることが必須の条件です。我々は地方創生にも貢献していきたいと思っています。

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