「働き方改革」 先行する中小、挑戦するベンチャー

中小だからできる「勤務時間は短く、生産性は高く」 日本政策金融公庫総合研究所主席研究員・井上考二

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 従業員をなかなか確保できないのは、中小・ベンチャー企業の宿命といえるかもしれない。だからこそ、規模が小さいなりに従業員をかけがえのない経営資源と認識し、個々の就労ニーズに柔軟に応えようとしてきている。政府が「働き方改革」を打ち出す、ずっと以前から、中小企業は斬新なアイデアに富んだ、さまざまな働き方を実践してきているという。多様な働き方で成果をあげる全国の中小企業を紹介していく。

■1日6時間の勤務を実施

 そのひとつが勤務時間の大胆な短縮。2016年に「療育」サービスを始めたイニシアス(三浦次郎社長、東京都三鷹市、従業者数35人)は1日6時間制を実施している。同社は障害のある子どもや発達が遅れている子どもにサービスを提供する、きわめて専門性の強い企業だが、三浦社長は「新規の求人には毎回十数人の応募がある」と話す。家庭の事情などでいったん離職してもまた復職するケースも珍しくないという。

 勉強や工作、演奏などのプログラムがある療育の中で、同社はソーシャルスキルの向上を狙いに運動療育に力を入れて取り組んでいる。動物の動きをまねたり、跳び箱を跳んだりする運動を通じて脳の機能の発達を促し、自分の順番が来るまで待つ、先生の話を聞いて指示に従うなどの能力を身に付け、学校や社会に適応するうえで基礎となる能力の向上を図っているわけだ。

 療育が必要な子どもは症状の程度がそれぞれで異なるため、一人一人に合ったプログラムを用意しなければならず、運動療育や発達心理学に関する知識が求められる。

 子どもに対する接し方のノウハウも欠かせない。スポーツトレーナーとしての経験が長い人や、教員や保育士の資格をもっている人などが必要だが、このような専門性の高い人材は簡単には確保できない。

 しかも国内の多くの療育教室は、1日に1コマのクラスしか開講しないという。保護者の育児負担の軽減や仕事との両立支援を目的とした、子どもの送迎サービスをしているからだ。

副業を認め、従業員の7割が活用

 対してイニシアスは、1クラスの人数は基本的に3人前後の少人数制とし、1コマ1時間のクラスを、平日は午後1時から午後7時までに4コマ(土曜日は午前10時から午後4時までに5コマ)開講している。業界慣習になっている送迎サービスをあえて見送り、複数クラスの開講と短時間勤務の実現を両立させた。

【11月12日セミナー】中小の採用、「自由化」が好機
日経BizGateは11月12日(火)18時から、東京・大手町の日経本社で無料セミナー「採用力が企業の将来をつくる」を開催します。三幸製菓の採用担当時代に「カフェテリア採用」などの手法で就活生の支持を集めた杉浦二郎氏(モザイクワーク)が思うように採用が進まない企業の担当者向けに独自の採用戦略をお伝えします。そのほか、永島寛之氏(ニトリホールディングス)、伊達洋駆氏(ビジネスリサーチラボ)が講演するとともに、参加者の質問に答えます。詳細・申し込みはこちら

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。