いまさら聞けないITの常識

今の「AI」は特定問題の解決策 機械学習で長足の進歩 中央大学国際情報学部教授 岡嶋 裕史

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(4)深層学習

 深層学習(ディープラーニング)は、ニューラルネットワークを多層化したものです。そもそもニューラルネットワークとは何でしょうか。実は生物が持っている神経繊維網を情報システムで模倣して、役立てようとするものです。言葉にすると難しそうですが、たとえばこんなモデル(図表1 上図)です。これを現実の事象に対応させるとこうなります(同 下図)。

 もちろん、現実に起こっている物事はこんなに単純ではありません。そこで、現実にも役立つように改良していくと、入力をたくさん受け入れたり、ニューラルネットワークを多層化させたりすることになります。

 ものの役に立ったり、現実に即した解を導けるニューラルネットワークを作るためには、閾値や重み、ニューラルネットワークのつなぎ方について、膨大な試行錯誤が必要で、何層にも及ぶ(深い)ニューラルネットワークは作れない、うまく機能しないといわれてきました。深層学習は、機械に学習させることでこの課題をクリアしたといえます。

 現在では、深層学習を用いたシステムが身の回りにあふれています。写真の中から正確に顔を見つけて、笑顔かどうか、本人かどうかといったことを判定したり、自分の声を声優さんの声に置き換えたり、しゃべった言葉を文章として抽出し、しかもそれを英語や中国語に翻訳することなどは、深層学習の成果です。

 こうした学習技術の進歩と、トリリオンセンサーなどによる学習データの質と量の向上とが相乗効果を発揮し、AIは長足の進歩を遂げました。しかし、それでもなおAIをめぐる状況は玉石混淆です。

岡嶋 裕史 著 『いまさら聞けないITの常識』(日本経済新聞出版社、2019年)、「第4章 つながるIoT、疑心暗鬼のブロックチェーン」から
岡嶋 裕史(おかじま・ゆうし)
中央大学国際情報学部教授。1972 年東京都生まれ。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所、関東学院大学経済学部准教授、関東学院大学情報科学センター所長等を経て現職。専門は情報ネットワーク、情報セキュリティ。著書に『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』(講談社)、『プログラミング教育はいらないGAFAで求められる力とは?』(光文社)、『ビッグデータの罠』(新潮社)などがある。
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キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、AI、IoT、ICT

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