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インバウンド需要の主役は中国「草食系」

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アリババ創業者・マー氏の「働き方」論はネットで炎上

 「ひとつ上の世代の30代にとって、アニメやドラマといえば日本を連想するくらい『スラムダンク』『ワンピース』『東京ラブストーリー』などは特別な存在です。しかし20代にとって、日本文化はネットを通して世界中のコンテンツが入ってくるワンノブゼムにすぎません」

 「その代わり良いと認めたら思い入れは深い。京都アニメーションの放火事件にはネット上で『全人類の損失』といった悲鳴が上がり、直後からSNS(交流サイト)では、どうやって支援金を送るかという話題で持ちきりでした。中国では多額な海外送金は当局にチェックされます。結局、京アニのネットショップで買う形にする(商品は受け取らない)か、米ファンドの募金に寄付するのがベストという結論になっています」

 ――就職や仕事に対する考え方も上の世代とは違うようですね。

 「この春に『996』論争が起こりました。朝9時から夜9時まで週6日働くのは中国版ブラック企業というわけです。日本でドラマ『わたし、定時で帰ります。』が放送されていて、ネット上では働きバチの日本でさえ定時に帰宅できる時代なのに……と嘆く書き込みもあらわれました」

 「これに反論したのが、アリババ創業者のジャック・マー氏です。『個人的に996で働くことは幸せだと考えている。多くの人が996で働きたいと願ってもそのチャンスがないのだ。若いときに働かなくていつ働くのか』というものです。マー氏自身が、休み無く1日12時間仕事して成功した典型例です。ただ『8時間だけ気持ち良く働きたいなんて若者はうちの会社に必要ない』とまで踏み込んで、ネットで大炎上しました」

 ――仏系の若者層を日本に引き付けるポイントはどこでしょうか。

 「ポイントはモノ消費からコト消費への転換です。仏系世代は知識に対してお金を払う世代なのです。英語アプリなど学習アプリのメーンユーザーで、書籍購入費が最も多いのも20代です。ただの海外旅行でなく文化の香りがする『文旅』(=文化旅行)がキーワードになります。日本の場合、古い独特の文化と現代アートが共存している点を強みとして生かせます」

 「すでに瀬戸内国際芸術祭が、仏系若者の間で人気を呼んでいます。欧米ブランドを購入するより安藤忠雄氏や草間弥生氏の作品を見る方が格好いい旅行になります。アートの力で島全体を包もうとする直島のプロジェクトは中国ではまだ試みられておらず新鮮に映るのです」

 「次の文旅の候補地のひとつとして、有力なのは九州です。観光列車を初めとする魅力的な交通網がコンパクトに整備されているエリアは貴重です。古代からの歴史的な文物も多い。現在は上海からを除けば九州各県への直行便が少ないことがネックですが、北京の最新空港である『北京大興国際空港』で整備されれば人気を集めるでしょう」

(聞き手は松本治人)

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