いまさら聞けないITの常識

「IoT」はデータ駆動社会の競争力 課題はセキュリティ 中央大学国際情報学部教授 岡嶋 裕史

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 企業のマネジメントやデジタルトランスフォーメーションではIT(情報技術)に関する知識が不可欠になっています。3回にわたるこの連載を通じて、知らないと恥をかくITの常識を身につけましょう。第1回では「IoT(アイオーティー)」を取り上げます。

◇  ◇  ◇

あらゆるモノをインターネットに接続する

 IoTとはInternet of Thingsの略語で、モノのインターネットと訳します。

 あらゆるモノをインターネットに接続しようとする技術や構想、製品、構築されたシステムそのものを指すときに使われます。

 ただし、「あらゆるもの」といいつつも、主に想定されているのはセンサー類です。そのため、トリリオンセンサーという概念も登場し、そして消えていきました。

 トリリオンセンサーは、毀誉褒貶(きよほうへん)の激しいIT業界では、すでに旬を過ぎて使われなくなった用語に位置づけられています。

 これまでバズワードと位置づけられた言葉には、Web2.0、クラウド、IoT、BYOD(ビーワイオーディー)、ユビキタス、ビッグデータなどがあります。どんな概念や商品、技術にも普及のサイクルがあって、黎明期、流行期、幻滅期、回復期、安定期を経て世の中に浸透します。

 バズワードと認識されるのは、このサイクルの中で流行期にあるときです。ある技術が注目を集め、期待されることで、実際の能力を超えて過剰に評価される時期なので、認知が進む一方で、実際に使ってみてがっかりする人も増えてくるステージです。そのため、バズワードという言葉に、新しい技術、期待されている概念といった意味合いの他に、海のものとも山のものともつかないうさんくささを感じる人も多くいます。

 その技術が本質的に良い素性を持っていたり、時代や社会環境に適合していると、幻滅期を超えて本格的な普及のステージに入ります。そのように、当たり前に広まっていったバズワードもありますし、幻滅期を超えられず消えていったバズワードもあります。採用する技術の選定などを行う場合は、こうした特性をよく理解しておく必要があります。

 トリリオンセンサーは、消えてしまったバズワードの範疇(はんちゅう)に入るかもしれませんが、その考え方は生きています。トリリオン(trillion)とは1兆のことで、1年間に1兆個のセンサーをどんどん設置しよう、といった意味合いです。ここでいう1兆は、「たくさん、無数」のことだと読み替えてください。具体的な数値を指しているわけではありませんし、特に「何のセンサー」といった指定もありません。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。