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老いやすい日本企業 「稼ぐ力」は十代前半がピークか 清水洋・早稲田大商学学術院教授に聞く(上)

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 「失われた20年」の後に来るのは「老いやすい」企業社会か――。日本企業の「稼ぐ力」が早い段階でピークを迎え、加速度的に劣化していくことが指摘されている。少子高齢化や老朽化が進む生産設備ではなく、決定的な要因は企業のイノベーション不足と、イノベーションを生み出すヒトやカネの流動性の欠如だという。「野生化するイノベーション」(新潮選書)を著した清水洋・早稲田大商学学術院教授に聞いた。

 ■日本企業30歳の硬直性、100歳の米企業と同じ

 ――日本の企業は米国企業に比べ「稼ぐ力」が早く衰えることを新著で分析していますね。

 「営業利益ベースの総資産利益率(ROA)で日米のいわゆる大企業(東京証券取引所の1部・2部上場企業とニューヨーク証券取引所上場企業)を比較すると、企業の年齢と本業での稼ぐ力の間に大きな違いが生じています。米国企業は設立から40年を過ぎた『中年期』でも10~12%のROAを維持しています。日本企業は十代前半で約11%のピークを迎え、加齢とともにどんどん力を落としていきます。五十歳代には4%の維持も難しくなります」

 「もちろん米企業も老います。1歳加齢するとROAは0.03~0.08下がります。対して日本企業は0.07~0.09です。もともと日本企業の方がROAの水準が低いために、加齢のインパクトが大きいのです。しかも、じわじわ差が広がっていきます」

 ――日米の差はどこから生じているのでしょうか。

 「ROAを営業利益率(収益性)と総資本回転率(効率性)で細かく分析すると、加齢と共に日本企業の収益性は衰えていくのに対して、米国企業ではそのようなことは見られません。効率性で見てみると、米国企業は加齢と共に低下していくのに対して、日本企業にはそのような動きは見られませんでした」

 「さらに研究開発のポートフォリオから新しい技術を生み出す領域の硬直性を調べました。この結果は驚くべきもので、30歳の日本企業と100歳の米企業が、ほぼ同じだったのです。予想を上回る日本の柔軟性の無さでした」

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