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リスペクトされるシニアに求められる意外なほどのフツウ トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 私は、企業向けの研修講師として、新入社員から60代まで幅広い年齢層の方々に日々接している。今回は、そういう研修の場で見聞きしたことをもとに「若手がシニアに求める人物像」について述べてみたい。

 研修を受講される20代・30代の若手は、私とは仕事上のつながりや利害関係がほとんどないことから、かなり本音に近い心情を吐露していると感じることが多い。私自身は50代半ばを超えており、本当の意味で、若手の考えを理解できているとは言えないかもしれないが、若手の率直な発言をよく耳にしていることから、シニアのありように少しは役立てるかもしれない。

上司や先輩に対する入社3年目の社員のまなざしはかなり厳しい

 入社3年目の社員向けの研修を担当することがときどきある。3年目といえば、ちょうど仕事がなんとなくわかったような気持ちになり、ある程度自信もつき、周囲を見渡す余裕が生まれるころである。周囲のちょっとしたことがことさらに気になる時期でもあるからこそ、上司や先輩に対するまなざしはかなり厳しい。よく耳にするのは、こんな発言だ。

・50代の働かないおじさん達(※注:おそらくシニア層には男性が多く、彼らは“おじさん”と言うのだろう)が多くて、あの人たちのほうが、給料が高いと思うとほんとに嫌になる
・40~50代の上司やベテランが「古いやり方」に固執していて、何か提案しても、「お前はわかっていない」とか「いいんだ、これで」とか言い、否定する
・「あとちょっとで定年だ」という空気を漂わせていて、本当に失速している感じがある。何を言っても無駄だろうなと思うから期待していない
・こちらが指示する立場になっていて、仕事の指示を出さなければならないのだけれど、やり方を頑固に変えようとしない
・何かあると、すぐ不機嫌になる。いい大人なんだから、機嫌くらい自分でコントロールしてほしい
・うちの上司が「こじらせ40代」で非常に迷惑。飲みに行くと、色々と“ぐち”をこぼす。わざわざ付き合っているのに、そんなこと、部下の前で言わないでほしいと思うけれど、それを指摘するとすねるから余計にメンドクサイ。私の給料に「ご機嫌とり」分は含まれていない
・新しいことを学ぼうとしないので、面倒なことは、やらないか、若い人にそれとなくさせようとする

 ――とまあ、とにかく、手厳しい。

 「オレ(ワタシ)は、そんなことない」と思うシニアも多いかも知れないが、果して全てに対して堂々と反論できるだろうか。

 面倒なことを避けたり、新しいことを学ぶのを断念したり、若手に愚痴をこぼしたり、新しい考えを受け入れなかったりしていないだろうか。

 若手から何か提案があったとき、「それは違うなぁ」「だけど」「でも」と否定的な反応をしたことはないだろうか。自分の言動について何か指摘された場合、素直に受け入れず、ムッとしたり、言い訳をしたりしたことはないだろうか。

 シニアは、自分が意識していなくても、若手に対する「優位性」を持つ。それは、マネジャーという役職差だけが生むものではなく、20~30年といった年齢差によっても優位性は生まれる。その結果、若手は、シニアの前で何となく委縮してしまう、何かを言うのに躊躇(ちゅうちょ)してしまう。だから、シニアが軽い気持ちで行う言動は、若手にはシニアが思っている以上に大きく響くし、若手はその行動を常に注視していると考えてほしい。

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