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リスペクトされるシニアに求められる意外なほどのフツウ トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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シニアには呆れるだけでなく、尊敬もしている

 一方、若手は全てのシニアにあきれているわけではなく、尊敬できるシニアもいるという。

 「あの(シニアの)方を尊敬しているんです」と話す若手に、それはどういう方なのか聞いてみると、「ちゃんとしているから」「年上だってことを変に気にさせない」などと言われることがある。

 具体的には「自分たちをがっかりさせない」「行き着く先があんな姿なのか、と不安にさせない」、そんな人がリスペクトできるとも話してくれる。「『あんな人になりたくない』と思うような人でいてほしくない」ということだろう。

 では、私たちシニアができることは何だろう?

 若手に細かく聴けば、ごくごく「当たり前」の“フツウ”なことがたくさん出てくる。

・偉そうにしていない、いつも謙虚に誰に対しても丁寧にコミュニケーションをしている

・挨拶やお礼もちゃんと言葉で述べてくれる

・相手(若手)の存在や言動を尊重してくれる

・いざというときとても頼りになる

・いつでも(身だしなみや立ち居振る舞いなどが)きちんとしている

・仕事で成果を出している

・常に勉強し、成長し続けている

 よくよく考えてみると、これらは、新入社員が「社会人になったら、こういう人であり続けましょう」と指導されるような人物像ではないか。つまり、老いも若きも求められるのは、根底で大きく変わらないごくごく“フツウ”のことなのだ。

 政府は、70歳までの雇用確保を努力義務とする法律の整備を始める方針を示している。70歳まで現役で働くと考えれば、50代はまだまだ若い。枯れるのでも下山するのでもなく、「いつでも今が一番若い」と自分を鼓舞して、若手から「リスペクト」されるような存在でありたいものである。

 シニアは、若手のしていること、しようとしていることに少なくとも反対はしない、邪魔しないようにしたい。むしろ若手を支援できるぐらいがよい。また、自分と意見が異なったとしても、いきなり反対するのではなく、自分のほうが古いのかもしれないと一歩引いて自分を客観視し、まずは「なるほど」と言って最後まで丁寧に聴いてみるぐらいの心持ちでありたい。

 シミ、皺、老眼、白髪といった肉体的な「下り坂」の現実は自覚しつつも、精神的には「まだまだ上り坂だぞー」という意識を持つことが大事だと思う。

シニアを部下に持つ管理職へのメッセージ

 シニアの仕事ぶりがもし偉そうに見えたとしても、多くの場合、シニア本人にその自覚はない。多少のことには目をつぶってもよいと思うが、若手が萎縮したり嫌な気持ちになるほど偉そうだったり、振る舞いがぞんざいだったりしたら、上司として積極的にフィードバックしてほしい。

 「○○さんの一言は、ご自分が思っている以上のインパクトがあるんですよ」とまずは指摘する。シニアは自分の立ち振る舞いにそれほど問題があるとは自覚していない可能性が高い。これだけでは「え?」と反応するだけで、具体的にどこに問題があるのかわからないかもしれない。

 そこで、具体的な問題点を指摘する。「若手がのびのび仕事をするためにも、もう少し丁寧に話してほしい」「あなたの一言は若手への影響がかなり大きいことを考えてから発言してほしい」などだ。

 言い方は注意すべきだ。何度も述べてきたが、シニアに限らず他人の問題点を指摘するときは、自分を主語にしたアサーティブな表現がお奨めである。

 「そういう言い方はダメだ」という表現より、「(私は)こうしてしてほしい」と「自分主語」で伝える。これが相手に取って受け入れやすいフィードバックを行うコツだ。

 併せて、良い点を褒めよう。もし、若手がシニアの何かの面を「リスペクトしている」ことがわかったら、シニアの耳に入れてほしい。「若手が、○○さんのこういうところ、すごいな、と言ってましたよ」などと具体的に言及する。シニアだって褒められたらまだまだ伸びるのだ。
田中淳子(たなか・じゅんこ)
1963年生まれ。トレノケート株式会社 シニア人材教育コンサルタント、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本DECに入社、技術教育に従事。1996年より現職。新入社員からシニア層まで幅広く人材開発の支援に携わっている。著書『ITマネジャーのための現場で実践!部下を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)など多数。ブログは「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。フェイスブックページ“TanakaJunko”。
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キーワード:人事、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修、働き方改革

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