長島聡の「和ノベーションで行こう!」

エコ運転支援で蓄積した「人の気持ちに寄り添う」チカラの可能性 第29回 アスア 間地 寛・代表取締役社長

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 これは私たちの仕事にとっても大きな変化でした。それまで、エコドライブコンサルティングを体系的に行うためのプロセスを作ってきましたが、その約20年間の蓄積を他の領域へ展開することができることがわかったのです。

 それまで、私たちは、物流会社以外の領域では仕事はしないと決めていました。バックグラウンドがあるから成果を出せるのであり、バックグラウンドがない領域には太刀打ちできません。ところがある人が、「このプロセスがわかっているだけでも価値がある」と指摘してくれました。

 システムの専門技術は専門家と話をすればいいので、そもそもどういうプロセスを組み込めばよいかを考えて、実証することに価値がある――、ましてやトヨタ自動車が相手であることには大きな価値があるという言葉を聞いて取り組み始めたのです。

長島 そこからいろいろチャレンジを始めたのですね。つまり、御社が現場の経験、暗黙知として蓄積してきたものを、システムにするために形式知化されたといえます。併せて、体系化して抽象度を上げて整理された――。

間地 いい言葉ですね。抽象度を上げて整理する――その通りです。

長島 それで本質を抜き出す。これができれば、専門性が必要なところは、専門家との協力による足し算と組み合わせて、適用範囲をいくらでも広げていけるようになります。しかも、物流コンサルティングは続けておられるので、新しい蓄積も増えていく。その結果、人の寄り添うことがいろいろな場面でできるようになっていくと思います。

間地 私たちが、今後、展開できそうなのは「本当は実行した方がいい」と思っているが、面倒で実施できないことを後押しするための支援です。エコドライブの支援は典型例です。安全運転になり、燃費も良くなる。絶対やった方がいいが、面倒だから、これまで通りに走ろうという人がほとんどでしょう。そういった人に、エコドライブをしたくなるスイッチを入れ、行動変容を促すのが私たちの仕事だと言えます。

 今後、この行動変容を促す技術を活かしたいのがヘルスケアの領域です。たとえば、歯のメンテナンス。歯が痛くなり歯医者さんに行って治療を受けます。治療が終わった後、歯のメンテナンスのために歯医者に来るようにと指導を受けます。しばらくはメンテナンスのために歯医者に通いますが、いつの間にか行かなくなります。本当は行ったほうがよいと思っているが、痛みがひどくならないと行けないような人たちを、いかに早い段階で「行きたくさせる」か――。「治療データ×メッセージ=行動変容」そんな風に考えて、今、いろいろな取り組みを始めています。

長島 ドライバーさんの数、歯医者さんに行く人の数、いろいろなことを考えると、御社のように多くのコンサルタントがいる会社でも、とても人数が足りません。しかし、トヨタの「エコドライブメッセージ」のように、ITシステムを活用することで、少ない人数で非常に多くの人たちの気持ちに寄り添うことができるようになりました。これまでにないような多数の方に御社の支援を提供する機会を切り開いたわけで、これがコンサルティングという事業をスケールさせる方法の一つではないかと思います。今日はどうもありがとうございました。

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キーワード:AI、IoT、ICT、経営、イノベーション、ものづくり、技術、製造、経営層

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