長島聡の「和ノベーションで行こう!」

エコ運転支援で蓄積した「人の気持ちに寄り添う」チカラの可能性 第29回 アスア 間地 寛・代表取締役社長

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長島 ああ、やはりそうなのですね。

間地 物流会社のドライバーは、プロなので自分の運転に一家言持っています。その方々が、運転方法について「ああだ、こうだ」と言われるのは、とても嫌なことです。

長島 しかし、ストレートに言えば、ブレーキとアクセルの使い方こそが、燃費を改善するために一番大事で、それは運転方法の一部でしょう。

間地 私たちは、そうした運転方法をドライバーの方々が自ら実践するように支援しています。みなさんプロのドライバーなので、燃費の良い運転方法とは、どのようなものかをご存じです。その運転方法をドライバーの方々に自らイメージしてもらい、「その通りに運転してくださいよ」と私たちがお願いする――そういうスタイルのコンサルティングを行います。また、燃費の良い運転ができる人たちに、なぜうまくいくのかを徹底的に聞くと、自信を持ってお話しをしてくれます。それを他のドライバーに伝えてもらいます。

長島 それは大変、うまいスタイルですね。

新入社員が2年間で一人前になる教育プログラムを社内で作成

間地 しかし、このコンサルティングスタイルを、新入社員へどう教育をするかが課題でした。そこで、新入社員が2年間で一人前になる教育プログラムを社内で作っています。

長島 ポイントをいくつかお話しいただけるとしたらどんなことですか。

間地 最終的に、一番重要なのは「自分の殻(限界)を破る」ということです。話を聞きたくない人を相手に、話を聞いてもらわないといけないので、普通に話をしても絶対に聞いてくれません。

長島 絶対無理ですね。

間地 それにはコンサルティングをする担当者の話し方に「熱量」が必要であるとともに、ドライバーの方々と本音で語り合う練習を徹底的にすることが重要です。ポイントは「自分が教える人」になった瞬間、ドライバーの方々は聞いてくれないことを知ることです。つまり、「自分は皆さんのお手伝いをするために来た人間だから、どこを改善したらいいか、教えてほしい」といったように、聞く立場を徹底します。これができるようになるまで社内でトレーニングします。

 あとは行動パターンについてのトレーニングがあります。お客様には、ミーティングに参加したくない、話をしたくない人たちが必ず何人かいます。この人たちに、参加してもらってもらうようお願いしなければなりません。私たちは、ドライバーさんがトラックを降りて戻ってくると、トラックまで走っていってコミュニケーションを取ったり、途中で嫌になって帰っていく人たちを追いかけて丁寧な説明をしたり、みんながお茶を飲んでいるところや、たばこを吸っているところに入りこんで関係づくりをしていくポイントを学んでいます。

 いったんコミュニケーションが成立すると、人というのは相手を放っておけずに、話を聞いてくれるようになります。要は、この連続です。こうして、いかにその組織がよくなるために、自分たちが動いているか――その姿勢を相手が理解すると、急に態度が変わるんですよ。うちのコンサルタントは、これが全員できます。

長島 いや、それは、どんな会社でも欲しがる力です。御社のコンサルタントは、ルールの世界ではなく、人の自立性みたいなものが、中からあふれてくるようなマネジメントを実現されていると思います。

 会社は大きくなると、ルールを作ります。そのルールがだんだん増えて、最終的には、自ら考えるのではなく、ルールに従う、ルールを守るという感覚になり、視野が狭まるようになりがちです。

間地 そうですよね。でも、コンサルタントがコミュニケーションに集中できるようにするには、実はバックヤードがとても重要です。私たちの会社では、バックヤードの担当者が、燃費のデータをきちんとシステムへ入力し、解析をしており、コンサルティングの担当者が、その解析結果をもとに、いつでもコミュニケーションができる状況をつくっています。

 また、私たちはドライバーとコミュニケーションを深める話し合いをミーティングと呼んでいますが、ミーティングの材料を、何百も用意しています。さらに、その材料に関して、徹底的に練習を行います。笑いのツボもしっかり習得しています。

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