天下人たちのマネジメント術

中曽根・吉田・浜口…昭和のリーダー1位は誰か

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 日本の近現代史で、最もリーダーシップのあり方が問われ続けたのは昭和期(1926~89年)だろう。歴代最長というだけでなく、常に国際情勢の大きな変化にさらされていたからだ。当初は軍事力で大きなマーケットと資源確保を求めた日本は太平洋戦争で敗北し、戦後は国土復興と経済成長が主要なテーマとなった。政治外交史の戸部良一・防衛大名誉教授は、経営学の成果も取り入れた組織・リーダー論を展開しており、「自壊の病理」(日本経済新聞出版社)、「失敗の本質」(共著、中公新書)など著作も多い。国際環境が急変するのは昭和も現代も同じ。時代を経ても変わらない普遍的なリーダーシップ論を聞いた。

昭和の指導者から学ぶ欠かせない3つの資質

 ――著書の「昭和の指導者」(中央公論新社)は経営者のリーダーシップにも通じる、国家指導者に必要な3つの資質を指摘しています。

 「経営学の野中郁次郎・一橋名誉教授らとの共同研究で、すぐれた指導者が持つべきものとして(1)歴史的構想力、(2)理想主義的プラグマティズム、(3)権力意志を挙げました。歴史的構想力は歴史的センスに根差した洞察力で、今がどんな時代であり、自分たちが何を要請されているかを見極めることです。経営者や企業幹部ならば人工知能(AI)や自動運転など、最新の技術革新や動向に対する感性の鋭さも問われます」

 「理想主義的プラグマティズムは、大義に通じる理想を掲げ、実行可能な措置を取り続けていくことです。自らの企業が社会的にどんな役割を果たそうとしているかの『ミッション』を定め、社員に徹底させることは、今日の経営トップの最も重要な役割でしょう。これに加えて、権力意志が欠かせません。国家指導者であっても企業リーダーでも、地位にしがみつくのではなく、ミッション実現への強い責任感覚を伴うからです」

 ――この3点について、60年以上に及んだ昭和期にそれぞれ一時代を画した5人の首相を比較しています。軍縮推進などの政党政治時代のリーダーである浜口雄幸(首相在任:1929~31年)、日中戦争勃発の責任者であり対米戦争を防げなかった近衛文麿(同:37~39、40~41年)、太平洋戦争を指導した東条英機(41~44年)、戦後の日本独立をリードした吉田茂(46~47、48~52年)、行政改革と首脳外交を展開した中曽根康弘(82~87年)です。

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