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高シェアやインド進出の企業、Jリート 今年後半に魅力増す投資先 経済アナリスト 田嶋智太郎

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インドへ進出する日本企業:製造業に加えて小売りや外食など非製造業も

 少し別の視点で「世界の成長する市場」を考えると、それは一つにインドである。

 かねて、インドにはスズキやホンダ、ダイキン工業など日本の製造業も相次ぎ進出を果たしてきたが、最近は小売りや外食など非製造業の進出が目立ち始めている。

 もともと、インドには市場として成長・成熟する素地があった。なにしろ、2008年から2018年の10年間に同国の総人口(国連統計)は12.01億人から13.53億人へと約1.5億人も増え、同じ期間のGDPは2倍以上に成長したのである(図表2)。世界第2位の人口を有するインドは、その約半分が25歳以下と非常に若く、その点は中国と大きく異なる。

 また、インドは中東や中央アジアに近く、日本や中国と中東地域を結ぶ海上交通路( シーレーン) の真ん中に位置する地政学的な要衝でもある。その地理的優位性は、欧州や中東、アフリカなどへの輸出拠点としても生かされ、さらに輸出目的のモノづくりを発展させるモチベーションにもなっている。

 実際、ダイキン工業は2018年からケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、セイシェル、モーリシャス、ブルンジの7カ国を仕向け地として、インド国内の工業団地で製造したエアコンを中心に輸出を開始。2020年に8万ドル規模の輸出を計画しているという。

 さらに、インドは若くて優秀な研究員や技術系人材が豊富であることから、世界的な研究開発(R&D)拠点としての重要度も高まっていることは既知の事実である。

 そんなインドで近年は中産階級が台頭し、真の意味での巨大消費市場が誕生しつつあるところに、明日の商機を見出す日本企業が増えている模様であり、前述したように最近は小売りや外食の進出計画をよく耳にするようになっている。

 カジュルアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングはインドのデリー首都圏で人気のショッピングエリアで今年10月に1号店を出店するとともに、ほぼ同時期に2号店と3号店を出店すると7月17日に発表した。3店舗の同時期オープンは、いかにインドが同社の世界戦略にとって重要であるかを示していると考えて間違いなかろう。

 生活雑貨店の「無印良品」を展開する良品計画のインド進出はもっと早い。同社は、2016年にインドのムンバイ市に「無印良品」の1号店、ベンガルール市に第2号店を出店し、翌年にはデリーに第3号店、首都デリー南東近郊のノイダに第4号店を出店している。ちなみに、このノイダにはスズキ、ヤマハ、ホンダをはじめNTTデータ、富士通、NEC、大手生損保各社など名だたる日本企業が60余りの事業所を置いている。今後、インドへの進出およびインドでの起業を計画する企業は、このノイダを候補地の一つにするといいかもしれない。少なくとも、近くに「無印」のお店があれば便利だし、心強いはずだ。

 なお、7月初旬には「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋がインドで合弁会社を設立したと発表している。ニッポンのカレー屋が世界最大のカレー消費国で勝負したいというのであるから、これは非常に興味深い。実は、牛丼チェーンの吉野家ホールディングスも昨年、インドに初めて試験出店しており、今後の成否がおおいに注目されている。

人気が復活したJリート:家賃の上昇が投資口価格の上昇余地に通じる

 冒頭で、米国における“予防的”な利下げは「バブル経済化へのアクセルを踏むに等しい」と述べたが、そうであるとすると、世界のマネーは往々にして特定の投資先に集中しがちとなり、ときに極めて投機的な値動きをすることがある。その可能性が否定できない投資先の一つは、足下で極めて強い基調を維持している上場不動産投資信託(Jリート)であると言えよう。

 このJリートについては、本連載の2018年12月更新分で筆者が「まだまだ評価不足」と指摘した。

 そして案の定、東京証券取引所に上場しているJリートの全銘柄を対象とした時価総額加重型の指数である「東証リート指数」は、その当時1800ポイント台前半の水準にあったが、記事執筆時点までには2020ポイント近くまで急速に水準を切り上げてきている。

 実のところ、東証リート指数は2007年に一時2612ポイントまで上昇する場面があり、このときの状況は後に「ミニ不動産バブル」と称せられた。もちろん、現在のJリート市場がバブルと呼べるほど過熱しているわけではない。その根拠の一つには、Jリートの投資先となる各種物件の賃料が基本的に上昇傾向を維持している点が挙げられる。賃料が上がれば、そのぶん物件の上値余地も生じるわけで、それは市場における投資口価格(株価)の上昇余地にも通じる。ちなみに、東京ビジネス地区(5区)のオフィスの平均賃料は6月まで66カ月連続の上昇となった。

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