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高シェアやインド進出の企業、Jリート 今年後半に魅力増す投資先 経済アナリスト 田嶋智太郎

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世界シェア首位の日本企業:その強みは必ずや収益・株価を押し上げる

 7月初旬、日本経済新聞社が実施した「2018年の主要商品・サービスシェア調査」の結果が明らかにされた。これは世界で競合する企業の商品・サービス74品目について調査したもので、日本の企業が首位に立ったのは11品目。うち7品目が成長市場に位置付けられるとされる。

 まず、スマホのカメラなどに使うCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサー(CMOSセンサー)の生産で世界トップシェアを誇るのはソニー。イメージセンサーとは、デジタルカメラのレンズから入った光を電気信号に変換する半導体チップ(撮像素子)で、人間の眼で言えば網膜に相当する部分である。ゆえに当然、その性能は写真の画質を大きく左右する。

 振り返ると、ソニーは1970年から電子の目であるCCD(電荷結合素子)イメージセンサーの開発に着手し、後に製品化されたデジタルビデオカメラ「ハンディカム」は世界中の人々に愛用された。2000年代に入ると携帯電話にカメラが搭載されるようになったことから、今度は「より高速で低消費電力かつ高画質」を追求した新たなイメージセンサーの開発を本格化させた。それが、ソニーのCMOSセンサーである。

 そして今、CMOSセンサーの需要が飛躍的に拡大している。その最大の要因は、お分かりのとおり「スマホカメラの複眼化」の流れだ。実のところ、スマホ自体の世界出荷量は年間約14億~15億台で今後も横ばいでの推移が見込まれている。しかし、スマホの需要が頭打ちでもスマホカメラの複眼化が進めば、そのぶんイメージセンサーの需要は拡大する。

 今やカメラがスマホのフロント(本体前面)に一つ、リア(本体背面)に一つ搭載されているのは当たり前で、近年はリアカメラが二つに増えている。さらに2019年にからはリアのカメラが三つの「トリプル(3眼)カメラ」がトレンドになりつつある。カメラが一つから三つに増えれば、当然イメージセンサーの需要も3倍に膨らむ。すでに韓国のサムスン電子や、何かと話題の中国ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)、ソニーモバイルコミュニケーションズ、フランスのウイコウ(Wiko)などが3眼カメラ搭載のスマホを発売しており、今後も一段と製品のすそ野を拡げる公算が大きい。なにしろ、低価格スマホを提供するWikoまでもがラインナップの一つに取り入れているわけであるから、今後は主要メーカーのミドルクラスにまで広がる可能性が高い。ハイエンドのスマホなら四つ以上のリアカメラを搭載するようになる可能性もある。

 加えて、イメージセンサーの用途はスマホ、タブレット端末、ノートパソコン、携帯ゲーム機、自動車、ドローン、画像検査装置などの産業機械、さらにはあらゆるモノがインターネットにつながるIoT機器へと広がっている。

 そんな追い風が吹くソニーの4~6月期の連結営業利益は前年同期比18%増の2309億円となり、同期間としては3年連続で過去最高を更新した。当然、株価は強気トレンドに乗り、年初来高値水準にある。

 次に、リチウムイオン二次電池(充電で繰り返し利用する電池)向け絶縁体(セパレーター)で世界首位の旭化成についても、ここで少し触れておきたい。リチウムイオン電池と言えば、今やスマホやタブレット端末をはじめとする各種のモバイル機器から電動工具、電気自動車(EV)、船舶、航空機に至るまで、その用途は実に幅広い。

 その部材の一つであるセパレーターは、二次電池の正極と負極の間に位置する多孔質膜で、正極・負極間でリチウムイオンを透過させる機能を有するとともに、正極と負極の接触を遮断し、ショートを防止する。当然、リチウムイオン電池自体の市場が拡大するごとにセパレーターの需要も伸びるわけで、ことに近年は電気自動車等の車載用途や電力貯蔵用途を中心に急速な成長を遂げている。

 そこで、旭化成は今年3月、セパレーターの生産体制強化のため、日米の工場に300億円の設備投資を実施すると発表。同社のセパレーター生産設備増強としては過去最大の投資額で、この設備投資によって2018年度比の生産能力が倍増するという。

 そんな旭化成の株価は、年初来ほぼ横ばいで推移しているが、足下のバリュエーション(投資尺度)から見て過度に割安な状態に放置されていると言わざるを得ない。むろん、手掛ける品目・分野の将来性の高さを考えても、同社の今後の収益や株価の上昇余地は大きいと言っていいだろう。その魅力が十分に発現することに期待したい。

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