SDGs入門

SDGsの読み方はなぜ「エスディージー"ズ"」なのか 日本総合研究所 村上芽、渡辺珠子

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

SDGsを世界共通の成長戦略と捉える

 こういう目線でSDGsを見てみると、17の目標には、「こういうふうに行動し、こんな状態になりたい」という内容が書かれています。だから、「ゴール」と名付けられていますが、未来像を描いているという意味では「ビジョン」にも近いとも言えます。

 ただこれらのゴールだけだと、「誰がやるの?」「どういう考え(理念)に裏打ちされているの?」「今までやってきた環境保全活動や女性活躍推進、働き方改革と似ているような、似ていないような?」など、様々な疑問がわいてきます。

 まず、この17の目標がどこに書いてあるかを確認しましょう。それは、2015年9月25日の第70回国連総会で採択された、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の中にあります。日本語では37ページあり、外務省のホームページに掲載されています(※1)。日本の省庁の中で国連関係を担当するのは外務省だからです。

※1 外務省仮訳。出所:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf (2019年5月アクセス)

 「アジェンダ」という言葉は、会議や発表を行うときに「議題」や「目次」という程度に使うこともあります。「本日のアジェンダは3つあります」などと耳にすることもあるでしょう。

 しかしここでは、もっと広く、戦略や行動計画といった意味になります。「2030年に向けた戦略と行動」くらいに理解しておくとよいです(※2)。さらに、「開発戦略」と考えるとやや途上国寄りになりますが、「成長戦略」だと言い換えられます。すなわち、2030年に向けた、全世界共通の、持続可能な成長戦略があり、その中心として書き込まれているのがSDGsなのです。

※2 戦略や目標といった用語については、経営学では「ビジョン→ミッション→ゴール→オブジェクティブ→ストラテジー→タクティクス」といった構造で説明されることもあります。「2030アジェンダ」ではアジェンダを「行動計画」と訳していますが、企業経営においては「戦略」レベルに相当すると考えられます。

 「持続可能な」とついているので、いかにも環境問題や社会問題だけのことを言っているように思うかもしれません。でもそうではなく、「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ」という細目(ターゲット)もあるように、お金のこともしっかり書いてあります。

 このような、「みんなのための成長戦略だ」という理解のもと、さらに読み解いていきましょう。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。