先読み&深読み 経済トレンドウォッチ

事業承継、太陽光発電、関西3都ブーム...課題解決が生む次の商機 経済アナリスト 田嶋智太郎

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

「太陽光発電の2019年問題」の解決法

 6月末から7月初旬にかけて、大手電力会社や新電力(PPS)各社から、家庭用太陽光発電の余剰電力の新たな買い取り価格の公表が相次いだ。既知のとおり、これは太陽光発電によってつくられた電力の「固定価格買い取り制度(FIT)」が、今年11月から買い取り期間(10年間)の満了を順次迎えることに伴うものである。

 これは、かねて「太陽光発電の2019年問題」と称されてきたもので、買い取り期間満了後の新たな買い取り価格が以前よりも大幅に引き下げられれば、いわゆる「売電」を続ける家庭が大幅に減ってしまう可能性が高い。この11月以降、買い取り期間の満了を迎える太陽光発電は、2023年までの間に累計165万件、同670万キロワットに上るとされ、この大型原子力発電所7基分相当の電力が「ヘタをすると宙に浮いてしまう恐れがある」というから、これは大問題である。

 もちろん、政府が掲げる政策方針の上で、今後も太陽光発電が再生可能エネルギーの普及の柱であることに変わりはない。だからといって、電力会社もない袖は振れない。ならば、残された選択肢は「太陽光発電を行う家庭がつくった電力(電力会社から買うより安い)を効率的に自家消費すること」となるのだが、ここで最も大きな問題として立ちはだかるのは、つくった電気を使うまでにいったん溜めておく「蓄電池」の設置・導入コストが高くて割に合わない(コストがペイするまでの時間がかかり過ぎる)というものである。

 むろん、政府や自治体による補助金の制度もあるが、それでもこれまでの蓄電池はコストに見合わない高い買い物であった。かくなるうえは、民間の技術開発力を駆使して、蓄電池そのものの値段を大幅に下げる努力と工夫を続けて行くしかないだろう。

 そんな折、電子機器や情報・通信機器からセラミック、太陽光発電にまで強みを持つ京セラ(6971)が画期的な蓄電池を新たに開発したとの記事が日本経済新聞の紙面上に躍った。記事によれば、それは原材料費を従来よりも約3割減らせる次世代型リチウムイオン電池で、早ければ2020年度中に住宅や工場向けの蓄電池の量産に乗り出すという。まさに「目の前の問題解決に商機あり」である。

 また、5月下旬に家電のシャープ(6753)は「太陽光発電システムの余剰電力量を人工知能(AI)が予測し、その予測に基づいて蓄電池の充電を自動で賢く制御する新サービス「COCORO ENERGY」の提供を本年7月31日より開始する」と発表した。これもFITの終了を間近に控えて、つくった電力をより効率的に自家消費したい家庭のニーズに応える画期的なサービスと言え、その普及が同社の社会貢献に一役買うことで、同時に同社のブランド力を高める効果も期待できるものと思われる。もちろん、長らく低迷している同社の株価にとっても、少し長い目でプラスの効果をもたらすものと期待していいだろう。

 なお、今の時代が求める「蓄電池」には、当然のことながら電気自動車(EV)に搭載されたバッテリーを含めることも忘れてはならない。かねて、家庭用蓄電池を幅広く展開・提供してきたニチコン(6996)は、太陽光発電を自家消費するだけでなく、EVにも充電して使えるようにする「トライブリット蓄電」のシステムの提供にも注力している。「つくった電気をいかにムダなく使うか」が問われる時代となるなか、電気自動車とのコラボレーションというのは最高の問題解決策であり、同時に一つの商機でもあるということだ。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。