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事業承継、太陽光発電、関西3都ブーム...課題解決が生む次の商機 経済アナリスト 田嶋智太郎

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活躍の場を拡げる!中小企業のM&A仲介

 独立行政法人、中小企業基盤整備機構(中小機構)は7月1日、創業・ベンチャー支援および事業承継・事業引き継ぎ支援をより一層、充実・強化するために『創業・ベンチャー支援部』および『事業承継・再生支援部』を設置し、同時に中小機構内外の関連業務・関係機関との連携強化に向けた支援体制の整備を図ると発表した。

 周知のとおり、いまや中小企業や小規模事業者の休廃業・解散は後を絶たず、そのことが将来的に日本の技術力や活力そのものを低下させる可能性が高いと危惧されている。東京商工リサーチによると、2018年に全国で休廃業や解散をした企業は前年比14.2%増の4万6724件に達したが、このうち代表者が60代以上だった企業は全体の83.7%を占め、高齢化による事業承継の難しい実態が浮き彫りになっているという。

 中小企業庁の発表資料によれば、2025年には中小企業・小規模事業者の経営者のうち約245万人が70歳以上(その時点で70歳未満は約136万人)になる見込みであり、現状ではそのうち約半分の企業で後継者が決まっていない(図表2)。この状態を放置すると、廃業の急増で2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDP(国内総生産)が失われるという。

 つまり、中小企業の事業承継を支援することは、いままさに必要不可欠の国策ということになるのである。

 そこで近年、日本政府は中小企業の事業承継を全面的にバックアップするべく、実に様々な制度・仕組みの改革を実施している。一つに、まずは経営者の親子間や親族内で行われる「親族内承継」をよりスムーズに進めるために、事業承継の際の贈与税や相続税の納税を一定の要因の下で猶予または免除する制度『事業承継税制の特例』が、2018年度の税制改正によって設けられることとなった。

 また、いわゆる「親族外承継」と称される第三者への事業承継に対しても、すでに政府は手厚いバックアップを行っている。なかでも、中小企業等経営強化法に基づく支援にあっては、M&A(合併・買収)による事業承継をその支援対象に追加することとなった点が見逃せない。

 具体的には、事業承継目的で企業が合併・会社分割・事業譲渡を行う際に不動産の権利移転が生じる場合、その際に発生する登録免許税や不動産取得税を軽減する仕組みの導入などが支援策ということになるが、そもそも肝心な事業承継先(=第三者)との“出会い”がなければ何も始まらない。

 むろん、そこは民間の出番ということになるだろうし、当然すでにいくつかのM&A仲介会社がそこに一種の商機を見出して新たなビジネス展開をスタートさせている。まさに「社会的な大問題は商機を生む」である。

 日本M&Aセンターは中堅・中小企業の友好的M&A支援で実績ナンバーワンのM&A仲介会社。同社が2018年4月に分社化し、それ以降ユーザー登録数を飛躍的に伸ばしているオンラインの事業承継(マッチング)サービス『バトンズ』は、買い手の多くが個人事業主や会社員であるという。

 そうした買い手はM&Aの経験や知識が少ないだけに、そこはプロの承継アドバイザーの仲介力がモノを言うこととなるケースが多い。成約までの業務をアドバイザーが一貫で行い、成約すれば委託料として収益が得られるばかりでなく、おおいに社会貢献も果たせる。そんな日本M&Aセンターの業績は、前期(2019年3月期)末時点で9期連続の過去最高益更新を果たす実力。同社の株価(銘柄コード:2127)は今年4月以降やや調整含みとなっているが、中長期的な業務の成長余力を考えれば、いまは買いどきと考えていいものと思われる。

 M&Aキャピタルパートナーズ(6080)も、主に中堅・中小企業のオーナー経営者に対してM&Aという選択肢を提案し続けている会社であり、足下ではコンサルタント数の増加に伴って案件開発が順調に伸びている。今期(2019年9月期)の業績見通しについても、会社側は第2四半期末時点で予想の大幅な上方修正を行うほど好調な状況をキープしている。

 中小企業の事業承継問題という“国難”の解決が求められる時代、そこに商機を見出して企業と社会の双方に貢献するM&A仲介というビジネスは、今後ますます活躍の場を拡げることとなりそうだ。

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