■人事考課面談と何が違うの?
「1on1? ああ、面談のことでしょ。我が社も半期に1~2度やってますよ」
このように、1on1と人事考課面談を誤解されている方が、まだまだ多くいらっしゃいます。そこで、従来の人事考課面談との違いをここで整理したいと思います。
【頻度】
人事考課面談:半期に1度、4半期に1度、など人事考課のスパンに応じて
1on1:毎週もしくは隔週もしくは月に1度
【時間】
人事考課面談:最短5分程度から
1on1:最短30分から1時間程度の間
【対象】
人事考課面談:直属の上長が評価対象となる部下(主に1階層下)に対して
1on1:上記とほぼ同じ
【目的】
人事考課面談:目標設定もしくは人事考課結果のフィードバックもしくは中間の達成度、進捗確認と、そのアドバイス
1on1:(企業により異なるが、一般的には)中長期的な部下の育成、職場における心理的安全性の確立、エンゲージメント(絆・愛着・関係性)の形成、経験学習支援
【テーマ】
人事考課面談:期初に設定した目標の達成
1on1:中長期的な深イイ話(緊急ではない重要事項)・キャリア形成、業務における成功体験・失敗体験の振り返りと内省、概念化(経験学習)、上司にサポートしてほしいこと、どこから手をつけていいかわからない仕事の悩み、同僚や他部署との人間関係やコミュニケーションの問題、経営の方向性・戦略に対する疑問や意見、中長期的な業務の改善・改革、プライベートの悩み、上司に知っておいてほしいことなど
【必要スキル】
人事考課面談:特になし
1on1:コーチングもしくはカウンセリングなどの体系だったスキル。傾聴スキル、勇気づけ(承認)スキル、質問スキル、フィードバックスキルなど。1on1スタートにあたっては導入研修およびフォロー研修の実施が推奨される
【反映先】
人事考課面談:人事考課およびそれにひもづく昇給、賞与、昇格昇進、人事異動など
1on1:なし(純然たる人材育成と組織開発を目的とする)
【公式度】
人事考課面談:人事部が主管となる公式な制度として
1on1:人事部が主管となる公式な制度の場合もあれば、有志のみが草の根活動的に実施する場合もあり
いかがでしょうか。人事考課面談と1on1は似て非なるものであることがよくご理解いただけたのではないでしょうか。対比させることでより明確になった1on1。次は、1on1を実施することで期待できる効果や実施する目的を見ていきましょう。