新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

小田和正の盟友 今も貫く建築の道 立命館大学教授 西山昭彦

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設計士としてヒット連発

 早稲田を卒業する際、設計で最も評判が高い竹中工務店に1973年に入社する。同期は250人、同期のうち院卒が3分の2だった。しかし、転学している地主さんは他の学生より年上で腹が座っていたこともあり、職場で上司からいじめに合う。それに屈せず、上司の言うことは聞かないスタイルを貫き、1976年には1級建築士をとり仕事にまい進する。

 その結果、1985年ころから設計コンペで受かり始める。そのころ、小田さんも次々ヒットを出し、スターとしての地位を確立する。1990年に設計課長となり、コンペ勝率5割を超えるという記録を打ち立てる。「5,6人のチームで集中して案を集める。決めたらすぐ設計をまとめクライアントへの提出をとにかく早くする。他社が締め切りギリギリなのに、期日前に出すこともあった」。この方式がメンバーの士気と集中力を高めた。その後はエルメスやプラダの店の設計も担当する。

設計した母校校舎で小田さんがコンサート

 設計総括部長や設計専門役を経て、定年後65歳まで雇用はあったが、その前に自ら退職する。

 なぜなら、個人事務所をやりたかったからだ。東京の新橋駅前に事務所を構えた。思い出の仕事に母校の聖光学院の校舎建て替え工事がある。7年間かかり、設計と監修を担当した。完成時にはそのホールで3日間にわたり、小田和正コンサートが行われた。現在は「この先90歳までは自営を続ける」と言い切る。注文は口コミで集まるそうだ。

 差別化できる点を聞くと、「どんな問題も逃げないで解決策を探る。依頼主の立場でプロジェクトマネジメントをする。業界全体をわかっている。興味の幅が広い」という答えが返ってきた。これだけそろっていれば、敵なしに違いない。

 地主と小田――おのおの別々の世界でプロとして一流になった。ふだんは見えない世界で、ずっとお互いを尊敬しあっているに違いない。「小田は自分の誇りです。いないと困る貴重な存在です。音楽と建築って、似てるんですよ」。

 これからもお二人は、それぞれの世界で生涯現役を実践し、人生100年時代のモデルとして次の時代を切り開き、社会に元気を与えるのではないだろうか。

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西山 昭彦(にしやま・あきひこ) 立命館大学教授
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授、一橋大学特任教授などを経て18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計62冊。

この連載は今回で終了します。

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