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「イマドキの若いヤツらは大丈夫か」と嘆くシニアこそ大丈夫? トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 あるとき、20歳ほど年下の後輩が「新事業として○○に取り組みたいので、まず勉強します。それで頭の中が整理できたら、その企画書を作成したいと思っています」と目を輝かせて相談にきた。私は先輩として『ああ、○○もいいけど、それより、今は他にやってほしいことあるんだけどな』と思い、それを口に出そうとした瞬間、ある記憶がハッとよみがえり、その言葉を飲み込んだ。

 一番やってはいけないパターン――。自分が若い頃、シニアの先輩たちに言われてとても嫌だったセリフだ――。

 当時、私は「こういうことをしてみたいんです」と若いなりに考えた新事業のアイデアを口にしたが、ある先輩はこう言った。「そんなことしている場合じゃないだろう」「それは5年早い」――。とにかく否定された、却下された、聴いてもらえなかった。それは一度や二度ではなかった。

 もちろん、そのアイデアは今思うと、単なる思い付きの域を出ておらず、実現が難しいか、実現したところでたいした収益につながらないレベルのものだ。だからといってその内容について「聴く耳をもたず!」という反応をされると、がっかりした。

 そんな中で、こういう先輩もいて、記憶に残っている。

 「いいね!それ、もうちょっと具体的に教えて」「面白そう。企画書にしてみたら?」

 あるいは、

 「うん、いいね。それをやるなら、○○や××も調べてみたら面白いんじゃない?」「それ、ぜひやってみて。そのためには、○○のデータがそろっているといいと思う」

 ――などと言ってくれたのである。基本的に肯定してくれたうえ、自分の考えの浅い部分については、「もっとこうしてみたらより良くなる」と教えてくれた。

 「これがないから、ダメ」「ここが不足しているから、まだまだ」といったマイナスの方向ではなく、「それにこれを加えたらより良くなる」「こういうことも調べてみたらいいのではないか」とプラスの方向で励ましてくれた。

 若輩者であった私の数々の企画がその先どうなったかと言えば、もっと調べて実現したものもあるし、そのまま立ち消えになったものもある。しかし、先輩に「こうしたらいいんじゃない」と受け入れてもらえたときのほうが、実現のために頑張ろうと思えたことは事実だ。

 さて冒頭の話に戻るが、こうした記憶がよみがえった私は、後輩に対して「今は他にやってほしいことがあるんだけど」と口にするのをすんでのところでとどめて、こう言うことができた。

 「それ、いいですねぇ。ぜひ詳しく調べて、○○さんらしい企画を作ってみてください」

 それが後輩の動機づけにつながったかはわからないが、いきなり否定的な反応をするよりは良かったはずだ。

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