コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方

セブン&アイ、スズキ、シマノ、テスラ...時価総額で知る意外な実力 長谷川 正人

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 第2回では「時価総額」によって企業の意外な実力を明らかにします。企業を財務的に分析すると事前に想像していたものと異なる企業の姿が数字で明らかになることがあります。長谷川正人氏が著した『コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方』をもとに解説します。

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なぜ、時価総額は注目されるようになったのか

 セグメント情報に続いてもう一つ、企業の意外な姿が表れやすい切り口が、7つの切り口の(7)「時価総額」です。時価総額の定義は次のように示されます。

時価総額=株価×発行済株式数

 式の中で、株価はわかりやすいですよね。投資家は誰でも株価の動向を見てその売買の判断を行います。株価の動向はインターネットでほぼリアルタイムにわかります。新聞には前日の株価情報が一覧で掲載されます。

 株価は1株あたりの値段ですが、これに発行済株式数を掛けて求める時価総額は、その会社を仮に今の株価で完全に買収(株式を100%取得)するにはいくらかかるかという意味を持ちます。つまり時価総額というのは単純にいうと会社の価値、会社の値段です。

 式で示される通り、株価と時価総額は連動します(発行済株式数が変わらない限り)。すなわち株価が10%上がれば時価総額も10%増えますし、株価が15%下がれば時価総額も15%減ることになります。

 私は研修受講者などから時々次のようなことを聞かれることがあります。

 「会社の指標は売上、利益、資産をはじめ数え切れないほど多くて、要はどれを見たらいいのかわからない。これだけ見れば会社の実力がわかるというような究極の指標は何ですか?」

 この問いに対して、私は「一つだけあげるとしたら時価総額が最も適当」と答えています。

注)株価がつくのは上場企業だけなので、時価総額が算出されるのも上場企業に限られます。

 経営指標としての時価総額は、財務分析の中で昔から注目されていたわけではありません。財務分析の7つの切り口のうち、一つだけ財務3表のどこにも掲載されていないし、また財務3表のどこからも直接導くことのできない指標です。

 時価総額という指標が広く関心が持たれるようになったのは日本では21世紀になってからです。

 2005年に以下のような敵対的買収事件が立て続けに起こり、いずれも大きなニュースになりました(会社名、役職などはいずれも当時)。

・ホリエモンこと堀江貴文社長が率いるライブドアがニッポン放送の株を買い占め、さらにフジテレビジョンの経営権を握ろうとした(堀江氏はその後逮捕)

・三木谷浩史社長が率いる楽天がTBSの株を買い占め業務提携を迫った

・村上世彰代表が率いるいわゆる村上ファンドが阪神電気鉄道の株を買い占めて阪神タイガースの上場などを提案した(村上氏はその後逮捕)

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