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セブン&アイ、スズキ、シマノ、テスラ...時価総額で知る意外な実力 長谷川 正人

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■小売 かつて王者だった百貨店は今

 日本の二大小売業グループはセブン&アイ・HDとイオンです。両社の売上(2018年2月期)はイオン(8.4兆円)がセブン&アイ・HD(6.0兆円)を大きく上回っていますが、時価総額ではセブン&アイ・HD(4.2兆円)がイオン(1.9兆円)の2倍以上あります。これは両社の利益水準の差を反映しています。

 またファーストリテイリング(ユニクロ、GUなど)の売上は2.1兆円とセブン&アイ・HDを大きく下回るのに、時価総額は5.3兆円とセブン&アイ・HDを大きく上回っています。これも売上の大小が時価総額の大小には結びつかない例です。

 歴史的にはかつて小売の王者は百貨店でしたが、上場する主要百貨店すなわち三越伊勢丹HD(三越、伊勢丹)、J.フロント リテイリング(大丸、松坂屋、パルコ)、高島屋、H2O リテイリング(阪急百貨店、阪神百貨店)、近鉄百貨店はいずれも時価総額は5000億円未満レベルにとどまっています。これら百貨店の時価総額は小売では新興勢力ともいえるニトリHD(1.6兆円)やパン・パシフィック・インターナショナルHD(ドン・キホーテ、ユニー)(1兆円)を大きく下回るだけでなく、良品計画(無印良品)(7400億円)や主要ドラッグストアチェーン各社(4000億円台が中心)も下回っていることには意外感を持つ人が多くいます。

 同様に、アパレルの名門オンワードHDの時価総額は1000億円に満たず、ファーストリテイリング(ユニクロ、GU)(5.3兆円)だけでなく、ZOZO(6500億円)、しまむら(3400億円)などと比べても大きく下回る水準にあります。

■自動車 日産とルノーの大小関係は?

 国内の上場完成車メーカー9社の時価総額は次の表の通りです。トヨタ自動車(21.7兆円)が1位なのは誰が見ても納得かと思います。なおトヨタ自動車は日本最大の時価総額の企業でもあります。

 トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車に次いでスズキ(2.8兆円)が4位に入っていることに意外感を持つ人がいます。国内ではスズキはダイハツ工業(トヨタの完全子会社化により非上場)と並んで軽自動車主体の小さいクルマを作るメーカーというイメージが強いですが、世界では成長市場のインドで5割近いシェアを握るなど、「国内の軽自動車メーカー」というイメージではとらえられない実態があり、時価総額にもそうした投資家の評価が反映されています。

 9社の下にあるシマノは四輪車ではなく自転車の部品メーカーなので広義の自動車関連企業ですが、自転車に関心がある人以外での一般の知名度は低いと思われます。しかしシマノは自転車変速機、ブレーキ部品などの主要部品で高いシェアを持ち(パソコンのCPUで圧倒的なシェアを持つインテルになぞらえ)、「自転車界のインテル」という異名でも知られる会社です。

 シマノの時価総額(1.4兆円)は四輪車メーカー9社のうち4社(いすゞ自動車、三菱自動車、マツダ、日野自動車)より高く評価されていることが確認できます。

 表の下には海外の主要な自動車メーカーの時価総額を記載しています。2018年に大きなニュースとなったカルロス・ゴーン会長(当時)逮捕で日産自動車との今後の連合関係が注目される仏ルノー(2.2兆円)は日産自動車(3.9兆円)の半分程度にすぎないこと(出資関係はルノーが日産に45%、日産がルノーに15%なので、時価総額の大小と「ねじれ」が生じていること)がわかります。

 また電気自動車の量産で世界から注目されるテスラ(5.8兆円)は老舗の大企業ゼネラルモーターズ(GM)(5.9兆円)とほぼ同水準にあり将来性が高く評価されていることもわかります。

 GM、テスラの年間販売台数(2018年)はそれぞれ約838万台、24万台と約35倍もの差があります。

 その両社の時価総額がほぼ同じということは、自動車1台あたりの時価総額も35倍もの差があることを意味します(GM約70万円に対して、テスラは約2400万円)。トヨタ自動車について同様に1台あたりの時価総額を計算すると約205万円となりGMの約3倍、テスラの約12分の1です(トヨタ自動車の同年の年間販売台数は1059万台)。

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