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セブン&アイ、スズキ、シマノ、テスラ...時価総額で知る意外な実力 長谷川 正人

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 敵対的買収の嵐はすぐに過ぎ去りましたが、その後多くの日本企業がM&Aや経営統合を活発化させる中で、時価総額は重要な指標と広く認識されるようになっていきます。買収対象、もしくは統合対象企業(上場企業なら)の価値を算定するにはまず時価総額がベースとなるためです。

 『会社四季報』で各社の欄に時価総額が記載されるようになったのはそう古いことではなく、2006年新春号(2005年12月発売)からです。2005年に起きた一連の敵対的買収騒動によって、多くの投資家の間でも時価総額が重要な経営指標と認識されるようになったことを反映しているものと考えられます。

時価総額に企業の意外な姿が表れる理由

 では7つの切り口のうち、第1回で見たセグメント情報と並んで「時価総額に企業の意外な姿が表れやすい」とはどういうことでしょうか?

 時価総額の大きい会社は価値が高い、社会(投資家)から高く評価されていることを意味します。

 研修などの場で多くの会社の時価総額の大きさ、大小を比べていくと「A社のほうがB社より規模がずっと大きいのに、時価総額は逆にB社がA社の2倍もあるなんて意外」というような声を受講者からよく聞きます。

 多くの人はどうも以下のような「思い込み」を無意識に持っているように見受けられます。

・大企業のほうが(そうでない企業より)時価総額が大きいはずだ

・歴史のある名門企業のほうが(そうでない企業より)時価総額が大きいはずだ

・有名企業のほうが(そうでない企業より)時価総額が大きいはずだ

 しかし、これらの企業の規模、歴史の古さ、有名かどうかといった要因は時価総額を決める要因にはなりません(規模は関係が全くないわけではありませんが)。

時価総額は投資家の期待で決まる

 では、時価総額は何によって決まるのでしょうか?時価総額を決定する公式は存在しませんが(先の式は定義式にすぎません)、簡単にいうと、多くの投資家が「この会社は今も、そして今後も利益を多く稼ぎそうだ」と思うほど企業の時価総額は大きくなり、また上昇していくことになります。

 2018年に米国で上場したスポティファイ・テクノロジー(音楽ストリーミングサービス)は、赤字ながら上場直後に2.8兆円もの時価総額をつけたことがニュースになりました(海外ではベンチャー企業を中心にこのような赤字企業の上場の例は珍しくありません)。

 そのため実際の時価総額の大小、ランキングなどを数字で確認すると、多くの人が無意識に持っている「思い込み」とのギャップが表れやすいのです。

 表は国内の時価総額上位15社のランキングです(2019年2月1日終値)。

 1位のトヨタ自動車をはじめ大半は有名大企業ですが、8位のキーエンスはおそらく一般的な知名度はあまり高くないと思われます。同社は工場向けのセンサーなどの計測制御機器を扱っており製造は外注しています。営業利益率が50%以上という知る人ぞ知る高収益企業で、また平均年収が2000万円を超えることでも知られます。

 次に、いくつかの業界ごとの時価総額ランキングを見てみましょう。

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