新「企業と社員」関係論―人生100年時代に

エグゼクティブサーチ最前線「求められるシニア人材」 立命館大学教授 西山昭彦

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 現在の会社を離れて別の会社で働けないだろうか。誰でも一度は思うことだろう。そんな中で、それを実現できる人と、できない人がいる。さらにいえば、自らは希望していないのに声をかけられる人と、希望して面接してもうまくいかない人がいる。その差は一体何なのか。世界有数の外資系ファームであるエゴンゼンダーでエグゼクティブサーチに従事しているコンサルタントの田畑信子さんに話を聞いた。

華麗なる経歴

 実は田畑さんとは十数年の知り合いで、筆者の異業種勉強会の創立時からのメンバーでもある。慶応義塾大学経済学部を卒業後、公認会計士の資格を取得し、TAC公認会計士講座専任講師を務めるとともに、新日本監査法人(現EY新日本監査法人)にて監査業務に携わった後、実家のファミリービジネスの経営陣としてグループ企業の再編に従事。その後、マーケティングの領域で世界トップといわれるノースウェスタン大学ケロッグ校に留学し、MBAを取得した。

 2012年よりマッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社で、組織再編、収益力強化、新規事業戦略等のプロジェクトに従事。途中、ダボス会議で有名なスイスの世界経済フォーラムに出向し、日本における男女間格差是正タスクフォースのプロジェクトマネージャーを務めた。

 2017年にエゴンゼンダーに入社。消費財グループおよびテクノロジーグループのコアメンバーとして、経営人材の外部招へい(エグゼクティブサーチ)に加え、経営人材の評価・育成、社長後継計画、ガバナンス改革などのコンサルティング業務に従事している。オフィスに数回お邪魔したが、丸の内の一等地に個室を構えている。ご家族はご主人とお子さん1人である。

 田畑さんのすごさは、本人にとどまらない。実家は従業員2,000名を超える企業を経営しており、父上は社長である。しかも3姉妹の全員が公認会計士である。

エグゼクティブサーチの世界

 さて、田畑さんが仕事で相手にするのは皆、年上のシニアやミドルである。マッキンゼーで経営戦略にかかわってきて、経営トップの実行力の大切さを感じ、やっぱりヒトが大事、とこの世界に入った。経営トップの悩みは多岐に渡る。経営者の信頼できるアドバイザーとして、本当に困った時、急を要する時にまず頭に浮かび、頼られる存在でありたいと思い、日々人に会いに飛び回っている。

 今取り組んでいる仕事の一つが、日本企業の執行役員を外部から招へいする仕事だ。日本企業の役員といえば、新卒から勤め上げた人で占められるのがほとんどだったが、近年は必要なスキルを持った人材を役員クラスで積極的に採用するケースが急激に増えているという。

 まずは初回のミーティングで、社長や人事担当役員からニーズを詳しく聞き、それを基に提案書を作成する。契約は必ずエクスクルーシブに結び、結果に対して完全にコミットしてサーチを進める形になる。受注決定後は、早速自社のデータベースに加えてリサーチやソーシング活動を行い、候補者のロングリストを作成、順にコンタクトして、次々に会っていく。

 初めての人へのアプローチに相手はどう反応するのだろうか。「案件に興味を持って話を聞きたいと仰る方もいらっしゃいますし、今回はタイミングが合わないが、将来を見据えてお会いしたいと仰る方もいます。どんな反応であっても、お会いいただける限りは喜んでお会いします」。会った人の中から候補を絞り、3~5人の詳細なレポート付きの推薦書を企業に提出する。

 それからは、人事担当役員、社長などの幹部面接が行われる。なんと、そのすべてに田畑さんは立ち合う。「双方からの言葉のフィードバックだけでなく、実際にその場にいて私自身も感じることで、状況をより的確に理解することができます。結果として、クライアントのニーズを正しく知ることができる上、候補者に次回の面談に向けてのアドバイスを行うことができ、サーチの成功につながります」。そして、最終的に1名が選ばれ、採用となる。

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