「令和」の国際企業戦略を分析する

「次の金融」 主役はアマゾンかアリババか 田中道昭・立教大学ビジネススクール教授に聞く(6)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 フィンテックを軸にした金融サービス競争が国際的に激化している。米アマゾンは実質的な融資・預金サービスを展開し、中国のアリババ、テンセントは決済サービスに重心を置く。国内でもヤフーを子会社化したソフトバンクグループにIT(情報技術)業界を超えた関心が集まっている。AI(人工知能)やブロックチェーンなどハイテク技術を駆使した次世代金融の勝者はIT巨大企業かメガバンクか。シティバンク日本法人など外資系金融機関で豊富な現場経験を持つ田中道昭・立教大ビジネススクール教授に聞いた。

テクノロジー産業の常識を持ち込んだアマゾン

 ――「アマゾン銀行」の誕生は時間の問題と指摘していますね。

 「銀行業の免許を取得しなくても、すでに金融サービスを展開しています。アマゾンに出店している法人向け融資『アマゾンレンディング』や、銀行口座を持たない人のネット通販を可能とする『アマゾンキャッシュ』や『アマゾンギフト』などで、決済・融資・預金と主要な金融業務を網羅しています」

「ただアマゾンの第一目標は、顧客サービスの向上や小売り、電子商取引(EC)の強化で、アマゾン経済圏の拡大です。金融はそのための一手段です。ECにおける決済から配送までの手続きの煩雑さを一掃した『ワンクリック決済』がアマゾンの狙いを物語っています。アマゾンの特徴はカスタマーエクスペリエンスの提供という、テクノロジー産業の常識といえる概念を金融の世界に持ち込んだことでしょう」

 ――そのアマゾンを追い越そうとしているのが中国のアリババですね。

 「2019年6月時点で最先端のフィンテック大国は、米国ではなくAI技術などの社会実装が進む中国でしょう。IT巨大企業のアリババが先行し、交流サイト(SNS)のテンセントが追う構図です」

 「アリババもアマゾンと同じようにEC事業から物流、実店舗、クラウドへと展開しました。しかし当初から金融決済に力点を置き、決済アプリ『アリペイ』を全ての商取引の入り口にした点が独創的でした。ビッグデータを活用した生活サービスを提供してアリババ経済圏を拡大しており、銀行、証券、保険、投資信託などを合計した金融資産額は日本のメガバンク並みです」

「アリババは個人の信用力を定量・可視化した『芝麻信用』サービスも展開しています。テンセントは、小売部門が手薄なものの顧客接点の多いSNSを使えるのが強みです。現在のIT業界と同じようにプラットフォームを構築できるかどうかが、次世代の金融界の勢力図を決めるでしょう。この3社は間違いなく次世代の国際金融界におけるメーンプレーヤーです」

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。