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東急電鉄、日本郵政、ソニー...セグメント情報で知る真の姿 長谷川 正人

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■鉄道より不動産で稼ぐ東急電鉄

 パターン1は、不動産事業が利益の稼ぎ頭になっているケースです。東京急行電鉄(東急電鉄)は、社名を聞けば、鉄道会社と認識する人が大半だと思われます。

 ところが東急電鉄のセグメント情報を見ると、連結の営業利益の中で鉄道事業の利益の構成比は3割台にすぎず、鉄道事業より不動産事業のほうが毎年コンスタントに利益を多く稼ぎ出していることがわかります。

 鉄道会社は多かれ少なかれ不動産事業、流通事業などの非鉄道事業を展開しているのはどの会社も共通していますが、東急電鉄ほど鉄道事業の利益構成比の低い(非鉄道事業の利益の構成比が高い)鉄道会社は稀です。

 上のグラフに見るように、最近3年間とも不動産事業の利益が鉄道事業を上回っています。

 東急電鉄が展開する不動産事業には様々なものがありますが、本拠地の渋谷にある代表的なものをあげると渋谷ヒカリエ、渋谷マークシティ、セルリアンタワーなどをはじめ、2018年開業の渋谷ストリーム、2019年秋一部開業予定の渋谷スクランブルスクエアと大型ビルが続々と加わっています。

 これらのビルは一般には商業施設(ショップ、レストラン)というイメージがありますが、実は延床面積のかなりの部分はオフィスビルなので東急電鉄の不動産事業の主力はオフィスビルといえます。渋谷ストリームにはグーグル日本法人が2019年秋に移転予定です。渋谷以外では同社が開発した二子玉川ライズ(世田谷区)には楽天が本社を置いています。

 なお東急電鉄のセグメント情報でもう一つ注目されるのは、生活サービス事業も毎年コンスタントに百数十億円の営業利益を出していることです。生活サービス事業には東急百貨店、東急ストア、SHIBUYA109(ファッションビル)などの小売業、他には広告、映画館、ケーブルTVなどの事業が含まれます。

不動産が本業より利益を稼ぐ企業

 東急電鉄のように一般に本業と思われている事業よりも不動産事業のほうが利益を多く(あるいは本業とほぼ同等に)出している企業は他にも多く見られます。以下いくつか例をあげます。

・TBS HD……TBSテレビを中心とする放送事業より不動産事業の利益が大きい。不動産事業の柱は赤坂サカスにある高層オフィスビルの赤坂Bizタワー(博報堂などが本社を置いている)。

・サッポロHD……国内酒類(ビール)事業より不動産事業の利益が上回る。不動産事業の柱は恵比寿ガーデンプレイス(特に高層オフィスビルの恵比寿ガーデンプレイスタワー)。他には銀座4丁目交差点角にあるGINZA PLACE(日産自動車、ソニーのショールームがテナント)、札幌市にあるサッポロファクトリーなど。

・フジ・メディア・HD……フジテレビジョンを中心とする放送事業と、都市開発(不動産)事業の利益がほぼ同じ。不動産事業は東京・大手町などにあるサンケイビル、大阪・西梅田にあるブリーゼタワーなどのオフィスビル。他にマンションやホテルなども展開している。

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