コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方

東急電鉄、日本郵政、ソニー...セグメント情報で知る真の姿 長谷川 正人

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 企業を財務的に分析すると事前に想像していたものと異なる企業の姿が数字で明らかになることがあります。長谷川正人氏が著した『コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方』をもとに2回にわたって解説しましょう。第1回では、東急電鉄、日本郵政、ソニーについて決算データの「セグメント情報」を分析して真の姿を明らかにします。

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 私が社内外で行う会計財務研修の後半では、受講者数人ずつのグループワークで、2社の決算データを比較して下の表のような7つの切り口にまとめて発表してもらいます。

 ここでは財務分析の方法論について説明するわけないので7つの切り口それぞれの分析方法については触れませんが、7つの切り口で企業を比較分析していくと多くの人が事前に想像していたものと異なる事実が数字で明らかになることがよくあります。

 そのような「企業の意外な姿」は7つの切り口のうち(4)「セグメント情報」、(7)「時価総額」でよく見られます。

 つまり 「この会社はこういう事業で利益をあげているはず」という予想は実際には「セグメント情報」で、また「この会社は投資家からこれくらいの評価を受けているのではないか」という予想は実際には「時価総額」で確認しないと外れている可能性もけっこうあるのです。

 まず、7つの切り口の(4)「セグメント情報」から見ていきましょう。知名度の高い会社ならば、その社名を聞くと、「ああ、あの会社は○○事業をやっている会社だな」と多くの人が思います。しかしちょっと待ってください。その認識が以前は正しかったとしても、実は今は別の△△事業のほうが、本業の○○事業より利益を出しているかもしれません。最近ではこういう「利益を多く稼ぐ事業が変わった企業」が増えてきているのです。

 企業の中で、どの事業が売上・利益を稼いでいるかは7つの切り口のうちの4番目、セグメント情報を見ることによって正確につかむことができます。

セグメント情報とは何か

 上場企業などの財務データは、○○株式会社という一つの会社単位ではなく連結業績(その企業グループ内の様々な事業や子会社などグループ会社をまとめて一つの会社とみなしての業績)で評価されます。

 セグメントは「部分」「区分」などを示す英語ですが、決算書を見る際のセグメント情報というのは連結決算の数値を事業(ないし地域)ごとにブレークダウンしてA事業セグメント、B事業セグメント……とセグメントごとに損益や資産状況などを明らかにした情報です。

 セグメント情報の数値は各社の「決算短信」「有価証券報告書」に必ず記載されています。また「決算説明会資料」でも関連した情報が記載されるのが普通です。

 セグメント情報では事業ごとの売上と利益(営業利益)は必ず公表されます。ここでは事業セグメントごとの営業利益の金額の大きさに着目します。

 ここから実際に3つの会社のケースを見ていきます。社名などから多くの人が思う「あの会社は○○事業で稼いでいる会社」というイメージと、「実は別の△△事業がそれより利益を稼いでいる」という実態が異なるケースには大きく3つのパターンがあります。「実は別の△△事業」が、不動産事業、金融事業、その他の事業の3パターンです。

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