天下人たちのマネジメント術

メイ英首相は「鉄の女」サッチャーと何が違ったのか 「英国の指導力」冨田浩司G20サミット担当大使に聞く(1)

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 英国のメイ首相が辞任する。3年前の国民投票で決まった「英EU離脱(ブレグジット)」への道筋を付けられなかったためで、退陣後の政局の見通しも不透明だ。迷走を続ける英国の原因を探ることは、日本企業の経営幹部にとっても、マネジメントに関するさまざまなヒントを与えてくれるだろう。在英経験が長く、評伝「マーガレット・サッチャー」「危機の指導者 チャーチル」(ともに新潮新書)を著してきた冨田浩司・G20サミット担当大使に、英国におけるリーダーシップのあり方を聞いた。

「淑女は心変わりなどしません」とサッチャー

 メイ首相の「先輩」にあたるのが、英国初の女性宰相として40年前の1979年から90年まで長期政権を担当したサッチャー首相だ。ニックネームは「鉄の女」。メイと同じ保守党で英国経済を再生させ、レーガン米大統領らとともに「冷戦」を自由主義陣営の勝利に導いた。

 冨田大使は外交官として最初に英国に勤務し、興隆期のサッチャー政権を肌感覚で経験したという。「サッチャー首相の真価は、国家と国民の境界線を引き直し、個人の自由を国民の営みの中核に据えたことだ」と高く評価する。サッチャーは個人の経済的自由を最大化し、国家の介入を最小化する「サッチャリズム」を推進した。

 メイもサッチャーも、英国社会が閉塞感に包まれた難局の時期に、強力な指導力を期待されてトップに立った。しかしメイは党内で強硬離脱派から突き上げられ、議会運営では地域政党に振り回された。EUとの離脱交渉では「弱腰外交だ」との批判も浴びた。最後は自らの離脱案に2度目の国民投票に道を開く条項を追加するなど方針がぶれ、閣僚らの離反を呼んだ。

 一方のサッチャーは首相に就任するや歳出削減や金融引き締めなどインフレ撲滅の政策を愚直なまでに取り続けた。「政策の見直しを求める世論には『淑女は心変わりなどしません』という名文句で応えた」と冨田大使。

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