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働き方改革、ダイバーシティー...高評価企業に学ぶ課題解決のヒント 経済アナリスト 田嶋智太郎

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問われる!プラスチックごみ問題への対応力

 このところ、連日のごとく関連の報道がなされる「プラスチックごみ問題(プラごみ問題)」への取り組み姿勢というのも、企業を評価するうえでの重要なポイントとなりつつある。

 周知のとおり、この問題は地球環境を脅かし、ことに海洋生物の生態系をも破壊しかねない忌々(ゆゆ)しき問題であるとして、日本国内でも「レジ袋の有料化」などの方策が盛んに検討されていると報じられている。2018年6月にはカナダのシャルルボワで行われたG7サミットで同問題が議題とされ、プラスチックごみ削減の数値目標が盛り込まれた「海洋プラスチック憲章」がその場で採択されるに至った。

 ただ、この憲章に米国と日本は署名しておらず、その後の対応が世界中から注目されていることも事実。そもそも日本人1人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は米国に次いで多く、そのために署名のための事前の準備が間に合わなかったわけであるが、それだけにこの6月に大阪で行われるG20サミットでは議論の柱の一つに据えることが必須になると、これまでに日本政府も取り組み姿勢を強めてきている。当然、このG20サミットをきっかけに、同問題への世間の関心もますます高まることであろう。

 このプラごみ問題の解決法は、俗に「基本は3R」であるとされる。それは(1)リデュース(=出すゴミの量を減らす)、(2)リユース(=再利用する)、(3)リサイクル(=再生産に回す)を指し、ことに重要とされているのはリデュースである。たとえばスポーツ用品メーカーのアディダスは2016年から店頭のビニール袋を紙袋に替えて提供している。また、あのスターバックスが2020年までにストロー全量を紙製に切り替える方針を明らかにしたり、すかいらーくが2020年までの切り替えを発表したりしていることも周知のことであろう。身近なところでは、すでにファミリーレストランのデニーズが今年2月からプラスチック製ストローの使用を原則禁止とするなど、実に迅速な対応を行っている。

 もはや、同問題に対する取組姿勢が企業の評価に直結する時代になってきたということなのだ。

 もちろん、自社の技術がこの問題解決でおおいに役立つという企業は相応に評価が高い。たとえば、植物由来で優れた生分解性を有するプラスチックの開発で他をリードしているカネカは、同社オリジナルの『カネカ生分解性ポリマーPHBH』の生産能力を今年12月にも増強するとして注目を集めている。

 一方、同社の協力を得て生分解性プラスチック製の化粧品容器を開発すると決めた資生堂にも一定の評価が下されることとなろう。同様に、京浜急行電鉄とそのグループ会社が運営する施設(13社、68施設)では、年間約16万本消費するストローを三菱ケミカルホールディングスが独自開発した生分解性プラスチック=「Bio PBS」製に切り替えると発表した。

 こうした、一つひとつの目に見える取り組みが企業の評価、引いては今後の実績・業績につながる可能性が高いというのだから、経営者は各種の実例をおおいに見習い、参考にしたいものである。

田嶋 智太郎(たじま ともたろう)
1964年生まれ。慶応義塾大学卒業後、現 三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」「生活情報論」の講座を受け持つ。金融・経済全般から企業経営、資産運用まで幅広く分析・研究。新聞、雑誌、ウェブに多数連載を持つほか、講演会、セミナー、研修等の講師や、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。主な著書に「財産見直しマニュアル」(ぱる出版)、「外貨でトクする本」(ダイヤモンド社)、「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)、「はじめてのFX『儲け』のコツ」(アルケミックス)、「日本経済沈没!今から資産を守る35の方法」(西東社)、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」(自由国民社)など。現在、日経CNBCコメンテーターを務める。

キーワード:経営層、管理職、経営、グローバル化、国際情勢

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