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働き方改革、ダイバーシティー...高評価企業に学ぶ課題解決のヒント 経済アナリスト 田嶋智太郎

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評価対象はダイバーシティー経営への取り組み姿勢

 去る5月18、19日、東京ミッドタウン(東京・港)で働く女性のための総合イベント「WOMAN EXPO TOKYO 2019」(日本経済新聞社、日経BP主催)が開かれ、同イベントの開催に先だって17日には、日経ウーマノミクス・プロジェクトと「日経WOMAN」による「女性が活躍する会社ベスト100 2019」の表彰式が開かれた。

 この「企業の女性活用度調査」の集計は今年で17回目となり、総合ランキングの第1位に輝いたのは前回の5位から順位を上げた花王グループだった。また、総合2位の栄冠を手に入れたのは前回16位からの大躍進となったりそなホールディングスで、3位以下には日本アイ・ビー・エム、高島屋、住友生命保険などが続いた。

 既知のとおり、政府は女性活躍推進法を踏まえて、2020年までに企業内の指導的地位に占める女性の割合を30%程度にまで引き上げる目標を掲げており、近年は広くダイバーシティー(人材の多様性)の拡大がイノベーション創出の土台となることへの期待も高まっている。

 もちろん、「ダイバーシティー=女性活用」でないのは当然なのだが、その一要素として注目されやすいことは確かであり、それはすべての企業にとって重要な要素となる。引いては、ダイバーシティー経営を広く実践することにより、その主な目的・効果であるところの人材獲得力の強化、リスク管理能力およびガバナンス能力の向上、業務執行に対するモニタリングの強化、イノベーション創出の促進などにつながることが期待され、最終的に業績パフォーマンスが向上する結果となれば、クライアントやユーザー、そして市場関係者らにもおおいにアピールすることとなるだろう。

 実のところ、前記の「女性が活躍する会社ベスト100」の公表に少し先んじて、今年3月には経済産業省(経産省)と東京証券取引所が共同で選定した「平成30年度 なでしこ銘柄」の公表も行われている。平成24年度のスタートから7回目となった今回も名だたる国内大手企業42社が選定され、各社における企業価値向上実現のためのダイバーシティー経営への取り組み姿勢とその開示状況が評価された。

 毎回、経産省がまとめたうえで公開している「なでしこ銘柄レポート」によれば、過去に「なでしこ銘柄」に選定された企業の「売上高営業利益率」や「投下資本利益率」「配当利回り」などの平均値は、非選定企業の平均値よりも高いことがわかっている(図表3)。むろん、その結果として選定企業の株価パフォーマンスが東証株価指数(TOPIX)をアウトパフォームしているという点も見逃せない。

 昨今の投資家は、ダイバーシティー経営の実践へ積極的に取り組む企業に優先して資金を振り向けようとする傾向を強めているとされる。被投資先としての企業にしてみれば、自社の取り組み度合いを十分に評価してもらうことが重要であり、そのための一つの“指標”として上場企業であれば「なでしこ銘柄」があるわけだ。

 他にも、企業の多様な人材活用を支援するイー・ウーマン(東京・港)が、政府機関や経済協力開発機構(OECD)東京センターなどの協力を得て開発した「ダイバーシティインデックス」と称する指標があり、ダイバーシティーの取り組みを強化したい積極的な企業に2018年から提供する仕組みを構築している。これは、希望する企業の社員全員を対象にダイバーシティーをどの程度理解しているか一人ひとりテストするもので、1回目の試みとなった昨年は8社・約7000人が受験し、その結果が近々リリースされるという。「ダイバーシティーを数値化する」というのは世界初の試みであるだけに、これまでにも各方面から企業のブランド力強化、優秀な人材の獲得・登用、イノベーション創出などに有効活用できるとの期待が数多く寄せられている模様であり、今後の展開もおおいに注目されるところとなっている。

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