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働き方改革、ダイバーシティー...高評価企業に学ぶ課題解決のヒント 経済アナリスト 田嶋智太郎

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「働き方改革」推進の時流に乗るシステム会社

 5月の最終週、ネットワンシステムズやオービック、ミロク情報サービス、サイボウズといった中堅システム会社の株価が軒並み年初来高値を更新する動きとなった。また、野村総合研究所や日本ユニシス、伊藤忠テクノソリューションズなど、システム大手各社の足下の株価も年初来高値水準にあり、なかには年初からの株価上昇率が6~7割程度に達しているものもある(図表2)。

 一つに、目下の市場では「米中貿易摩擦の問題から縁遠い銘柄ほど物色の矛先が向かいやすい」ということがあるのは確かだ。より広く言えば「外需株よりも内需株」ということになり、もともと10連休の少し前頃から外需株を利益確定して内需株に乗り換える動きが徐々に見られてはいた。「長い連休中に世界で何が起こるかわからない」というのが乗り換えの主な理由だったが、連休後は一段の先行き不透明感が乗り換えを促進している。また、基本的に外需株より売買代金が少な目になる内需株の方が、日銀による上場投資信託(ETF)購入の影響も受けやすいとされる。よって、全体地合いがあまり振るわない(日銀のETF買いが出番を迎える)ときの方が、内需株には外需株などから資金が回ってきやすくなるという部分もある。

 もちろん、何より大きいのは「システム各社の業績が長らく好調に推移し続けている」ということに尽きる。日本経済新聞社がシステムやソフトウエア開発を主力とする東証1部上場企業のうち10年間継続比較可能な会社を対象に集計したデータによれば、主要85社の2018年度は9期連続の増収増益となった模様で、利益は9年前に比べて2.6倍程度に膨れ上がってきているという。

 このところ人手不足の深刻化で省力化投資に励む企業が増えていることに加え、多くの企業でビッグデータの活用を目的とした投資が活発化していることも背景にはあろう。また、近年は不動産や建設など従来あまり積極的ではなかった業種にもICT(情報通信技術)活用のすそ野が広がっているうえ、社会的な「働き方改革」推進の時流にも乗り、システム会社のビジネス領域は拡大していると言っていい。

 一例を挙げると、ネットワンシステムズの2019年3月の連結決算において、売上高は前期比で13%程度増え、営業利益と当期純利益はともに57~58%程度の増加となった。

 中央省庁や地方自治体、通信事業者や民間企業などを対象に、クラウドサービスの活用推進や情報セキュリティーの強化、働き方改革の円滑な導入などを広く提案してきたことが業績好調の主要因であったと見られ、場合によっては景気がやや減速気味になるほど、企業のシステム投資は盛んになるとも言える。

 続く2020年3月期も、会社側は3%程度の増収と2ケタ増益を見込んでおり、市場予想もほぼ会社予想に近い。さらに、市場予想では2021年3月期も増収増益基調が続くとしており、当然のことながら、そうした点は今後も市場で高く評価されよう。

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