「令和」の国際企業戦略を分析する

逆風のグーグル・バイドゥ、検索からAIへ 田中道昭・立教大学ビジネススクール教授に聞く(5)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

バイドゥの死角はカスタマーエクスペリエンス

 「中国のグーグル」と呼ばれるバイドゥもAIビジネスに前のめりだ。今年1~3月期の最終損益は赤字。検索エンジンに頼る一本足打法のビジネスモデルに限界が来たとみられるため、さらに力を注ぎそうだ。創業者のロビン・リー最高経営責任者(CEO)は北京大やニューヨーク州立大でコンピューターサイエンスの修士号を獲得したエンジニア。検索エンジンの米インフォシークなどを経てバイドゥを設立した。アリババやテンセントに先駆けてシリコンバレーにAI研究所を設立している。

 バイドゥが中核となる自動運転の開発連合「アポロ計画」は中国政府認定の国家プロジェクトだ。昨年から自動運転バスの商業化をスタートさせたほかバスの量産化も始めたという。田中教授は「バイドゥが目指すのはほかの自動運転技術を持つ企業パートナーを巻き込みながら中国国内のプラットフォーマーになることだ」とみている。

 

 グーグルとバイドゥを田中教授が開発した「5ファクターメソッド」で分析した。全体的にグーグルが優位に立つ中で経営トップの「将」の点でははっきりグーグルがリードした。同社のスンダー・ピチャイCEOは1972年にインドで生まれ、奨学金を得て米スタンフォード大に進学。2004年にグーグルに入社した。「ビジネスも技術も分かる」人材として評価された。田中教授は「ピチャイCEOはグーグルが求める『有能でしかも人に愛されるリーダー』を体現している」と評価する。

 他方バイドゥのリーCEOに関しては、テクノロジー志向が強い一方、カスタマーエクスペリエンスなどへの意識はまだグーグル指導者に及ばないようだ。「テクノロジー中心から顧客中心に進化できるかどうかで、バイドゥが世界を巻き込んで自動運転の社会実装化を担えるかどうか決まるだろう」と田中教授はみている。

(松本治人)


閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。