「令和」の国際企業戦略を分析する

中国・テンセントはフェイスブックを超えるか 田中道昭・立教大学ビジネススクール教授に聞く(4)

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 「ウィーチャット」の中国IT大手、テンセントが交流サイト(SNS)を起点にした新規分野開拓を加速している。同国でアリババと株式時価総額のトップを争いつつ、人工知能(AI)から次世代小売りにまで幅広く事業領域を広げようとしている。他方、SNS本家である米フェイスブックは、2018年の個人情報漏洩問題で受けたダメージがボディーブローのように響く。IT巨大企業の動向を分析する田中道昭・立教大ビジネススクール教授に両社の企業戦略を聞いた。

SNSからスタート、ハイテク小売りからAIまで

 フェイスブックの月間利用者数(MAU)が世界で約23億2千万人と圧倒的なのに対し、テンセントは約10億人。しかしユーザーは中国国内に集中し、田中教授は「テンセントは中国社会におけるコミュニケーションサービスのインフラ企業だ」と位置づける。

 同社はSNSで獲得したユーザーに対してゲームや動画、ニュースといったコンテンツ提供や決済サービスを提供し売上高の65%を占める。特にパソコンやスマホ向けオンラインゲームは社会現象になるほど人気で、中国の若者らをゲーム中毒に陥れたと「人民日報」に批判されたほどだ。モバイル決済のウィーチャットペイも約10億人が利用し、QRコード読み取りや個人間送金、Eコマース(電子商取引)で使われている。

 テンセントが進めているのがウィーチャットアプリの開放。米アップルと違い、アプリ開発者には手数料を求めないことで参入を促している。「ウィーチャットを事実上のプラットフォームに置き換えて『アプリ内アプリ』を普及させ、より多くのユーザーを囲い込む狙いだ」と田中教授。モバイルショッピングや旅行関連サービス、金融関連サービスなどで業績を伸ばしていると指摘する。

 田中教授は「ウィーチャットというコミュニケーションアプリを押さえているメリットは非常に大きい」と言う。1日に何度も繰り返して利用するものであるだけに、アマゾンやアリババなどのEコマースよりも使用頻度が高く、顧客接点が強くなるとみられるからだ。「欧米諸国などでもコミュニケーションアプリ首位の企業は、テンセントのようにプラットフォーマーの座を狙ってくるのではないか」と田中教授は予想する。

 IT技術を一歩進め、テンセントが展開しているのが「スマートリテール」と呼ぶハイテク小売業だ。テンセントを主軸にEコマースの京東商城、スーパーチェーンのヨンフイの3者が資本提携し宅配用の小型自動運転車、宅配用ドローン、入荷から出荷までの完全自動倉庫を実用化している。

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