長島聡の「和ノベーションで行こう!」

消耗品の買い物をIoTやAIで究極まで便利にしたい 第26回 スマートショッピング 共同創業者・代表取締役 林英俊

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七つの価値観・行動規範を定義

長島 「スマート ショッピング ウエイ(SS Way)」という、価値観・行動規範をまとめたものも御社のビジネスの成長を支えていると感じています。どのような意味で決めたのでしょうか?

 価値観・行動規範が七つありますが、ご指摘の通り、弊社はこの「SS Way」を早くから決めて大事にしてきました。規模が小さいときから決めて守っていくべきこと、チームづくりの根幹にかかわることだと考えています。これら七つが弊社の価値観・行動規範の根幹であり、それらを大切にしてくれる人を採用し、そういう人になるように評価するといった、人事設計の全てに影響を与えています。

 また、経営陣が意思決定のミーティングでもめたとき、それでも紛糾しないのは、意思決定の拠り所としてSS WAYに合う・合わないといった納得感が共有できているためかもしれません。

 大きく分けると、プロフェッショナルであることを追求するベーシックなものと、弊社の特徴を強く出すようなものがあります。

 「1.カスタマーへの発明」はさきほど少しお話ししたように、お客様にとってインパクトのある発明をしろ、言いなりになるなということです。もちろん、お客様の声は聞き、それを出発点にするのですが、「発明」と言えるレベルのものするために頭を使ってほしいという意味です。

 「2.最高より最速」は8割の出来でよいから早く出せというものです。会議では「それはなんか遅いよ、最高より最速だよ」といったりします。

 「3.自動化の追求」は人手で行って面白いことでも、スケールできなかったら諦めようというものです。事業だけでなく、組織運営も徹底的に自動化して、少ない人で回すことにこだわっています。

長島 「1.カスタマーへの発明」は、同じ言い方ではありませんが、弊社も目指しています。コンサルティング会社の仕事は、イシューツリーが基本にあります。大きな幹となる問題を仮説として設定し、論点に応じて一つひとつの「イシュー」に分解して解決策をつくりますが、それでは絶対に、期待を超える「発明」はできません。問題の解決策ではなく、問題自体が生まれなくする状況を一つの解決策で実現するといったチャレンジをすごくしたいのです。

 でも私は、それを長島さんに教わりました(笑)。イシューツリーも大好きですけど、分けることによってイシュー同士の相関や複数のイシューに共通する要素が見えなくなることを賢い人は理解した上で使います。イシューツリーをつくりつつ、有機的なつながりはこうだといったように、視点を二つ持つのがよいのでしょう。

長島 「2.最高より最速」も弊社は追求しています。日本の製造業は最高を目指す傾向がありますが、方向が違ったまま進んでいく恐れがあります。その間違ったまま時間が流れていく怖さを肌感覚として持っている人が少ないんです。ただし、弊社自身が変わらなければ、その肌感覚を伝えることもできません。そこで、弊社内の改革についても完璧ではなく、3割ぐらいからでも始めて、その成功・失敗体験を外部へ発信しようという活動を続けています。

海外市場の開拓に来年から取り組む

長島 最後に、今後の展望について聞かせいただけますか?

 足元では当然、国内で「在庫管理IoTといえばスマートマット」みたいに言われるように頑張っていきます。単一の商材でいかに広い市場を攻められるかという方向で考えています。

 それを前提に、一つは海外市場の開拓に来年から取り組みます。既にウェブページが英語に対応しており、海外から資料請求がきていますので必ず実現します。

 もう一つは、BtoC向けでスマートマットのようなハードウエアを受け入れてくれる方法を考えています。手間がかかってもよいので、喜んでくれる人が多いほうが好きなのです。

長島 スマートマットのビジネスは、広がりがすごいですよね。

 「ターゲットは誰だ」と聞かれて返答に悩むほど、汎用性があります。もともと特定業界用の専用機をつくる気持ちがなかったので、最も汎用的な形状を検討して今の板状の形へ落ち着いた経緯があります。

長島 社会貢献という点でも対応ができそうでしょうか?日本は課題先進国であると言われることもありますが、地方では高齢化・過疎化によって買い物に不自由される方が増えており、対策が求められています。

 「買い物難民」と言われる方々を、スマートマットの活用で救いたいという要望はきています。重くてかさばるお水、お米、灯油といった消耗品はネット通販で買えますが、スマホさえ使えない方々もいます。携帯電話のネットワークに対応し、電池を入れるだけでクラウドへ接続する新たなスマートマットを開発する必要はありますが、「体重計」に近いものを家庭に置くだけで、消耗品を必要なだけ購入できる生活が実現できます。

長島 スマートマットが実現する賢い移動はこれからの経済を活性化するカギの一つです。弊社でも「移動」によって経済を成長するという考え方に基づく社内ベンチャーのような専門組織を作って研究しています。モノとヒト両方の移動を活性化することを目指しています。

 移動でマーケット全体を広げるわけですね。

長島 そうです。人や社会を元気にするために移動をどうデザインするのかの答えはまだ出ていませんが、モノやヒトの移動が増える街――それは外部からの流入も含めてですが、そうするとその街は間違いなく豊かになります。まだ計画段階ではあるんですけど、遠隔操作の電気自動車(EV)をつくってみたいとも考えています。

 そのEVの中には日常生活用の消耗品が積まれていて、消費者からの信号を受け取ったら届けるような仕組みができるかもしれません。弊社には、スマートマットで安否確認ができないかという相談も来ています。一人暮らしの方の家で、お米が一定のペースで減らないときには病気になった可能性を疑うといった用途です。

長島 今日のお話しでは、消費データがダイレクトに分析しやすくて、かつ消費だけじゃなくて、増えるゴミの管理にも適用できるといった話だったり、医療分野に適用すると安全管理につながったりするといった発見がありました。これからは弊社との掛け算・足し算で、社会に元気を生み出していくことを一緒に追求できれば幸いです。本日はありがとうございました。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、AI、IoT、ICT

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