長島聡の「和ノベーションで行こう!」

消耗品の買い物をIoTやAIで究極まで便利にしたい 第26回 スマートショッピング 共同創業者・代表取締役 林英俊

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ビジネスを拡大できたポイントは三つ

長島 ここまで事業を拡大できたポイントについてはどうお考えですか?

 振り返ると、ここまでビジネスを拡大できたポイントが三つあります。

 一つ目は、起業したとき、定期購入を改善して便利にするといったレベルではなく、お客さんの期待を大きく超える、バリューが一段高いサービスをつくりたいと考えたことです。当時、大手EC事業者がボタンを1回押すだけ、あるいは音声で指示するだけで消耗品を注文できるようにしましたが、われわれはその上を行く、「ゼロクリック」「ノンインプット」でお客様が消耗品を買えるようにしたいと考えました。

 二つ目は、お客様の期待を超えるサービスにするとはいえ、お客様のニーズを確かめることが絶対に必要だと思ったことです。アンケートではわからないと感じ、実際に利用できるサービスをつくって確認しています。最初の試作機で基本動作を確かめるとともに、将来の量産を視野に入れた2度目の試作機を30枚つくり、BtoBとBtoC両方のお客様に使ってもらいました。

 三つ目はその結果を受けて、スマートマットを思い切ってBtoB向けにしたことです。結果として、準備から約2年半で量産できるようになり、去年の10月に正式なサービスとしてローンチできました。

長島 電池駆動は技術的に意外と難しいですよね。待機電流があるため、利用しなくても電池は減っていきます。

 よくそこに気づかれましたね。皆さん、スマートマットの外観をみて「どこがすごいんだ」みたいな質問をするのですが、電源の制御には苦心しました。特に、手軽に入手できる乾電池で長期間動かせるかは使い勝手に直結するので、徹底的に追求しています。コストをどこまで落とせるかについても非常に地味ですが、頑張っています。

長島 乾電池でどれくらい使えますか。

 単3乾電池4本で1年間です。1カ月に1回といった頻度で電池を交換すると、もう使えないと思いました。私もガジェット好きですが、毎日充電する機器はスマートフォン以外に増やしたくないと考えています。

共同創業で視点が広がり、役割分担ができた

長島 林さんは共同創業者という肩書ですが、もう一人はどのような方でしょう?

 共同創業者の志賀(隆之)とは20年来の付き合いになります。大学から大学院まで6年間同じところに通い、最後は同じ研究室で学びました。大学院を出たあとは別々の仕事につきましたが、創業に当たり合流したという経緯です。学生時代から何か新しいビジネスをやりたいという話は二人でよくしていました。私はコンサルティング会社に就職し、転職してECサイトのビジネスをして、起業しました。志賀は証券会社に就職してM&A(合併・買収)を手がけ、転職してアドテクを行い、アプリも開発しつつ、米サンフランシスコで一時期を過ごすなど、日米の市場を知り抜いています。

 共同創業してよかったのは、互いの得意領域が違っているため、視点が広がるところです。私がイノベーションに集中し、彼がマネジメントを行うといった役割分担もできています。

長島 お互いに重なる部分もありますよね。

 会議室でカンカンガクガク言い合うことはあります。

長島 そこがたぶん大事なんですよ。互いに任せっきりになると、絶対ダメですよね。

 起業してから土曜の朝を経営会議の時間にあてています。5人の経営陣が絶対集まることができる日なんです。経営方針などを巡って議論が過熱することはあります。ただ、共同創業者とは、20年にわたり、喧嘩を何度もしていますけれど、会社の会議室を出たら、同じ船に乗っている者同士という気持ちになって前へ進みます。

長島 いい関係ですよね、それは。

 あとはコンサルタントの役割に近いかもしれませんが、大きな意思決定をするとき、誰にも相談できないよりは、相談できる人がいるとありがたい。

長島 本当にそう思います。

 そういう意味では、同じレベル感の共同創業者がいたことで、起業家特有の孤独感やプレッシャーからは解放されていると感じます。普段はバラバラなことをやっているのですが、相談すると必ず答えが返ってきます。逆に、私も相手から相談されたときは返します。

長島 それは、うらやましい関係ですね。実現できている会社は少ないんじゃないでしょうか。

 そうですね。「共同創業者あるある」といいますか、二人は喧嘩しているのではないかとよく言われます。それに投資家受けは悪いです。「二人も必要なのか」みたいな言われようです(笑)。

長島 決められないのではないかと投資家は思うでしょうね(笑)。

 でも、なんかうまく決まっているんですよ。共同創業者の成功例がないかというと、グーグルの初期のように、キャラがある程度ズレている二人が組んだときはうまくいっています。

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