「令和」の国際企業戦略を分析する

「逆境」ファーウェイが勝ち組に転じる時 田中道昭・立教大学ビジネススクール教授に聞く(2)

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 米中の関税合戦が過熱している。米政府は中国製品の約3000億ドル(約33兆円)分に最大25%の関税を課す第4弾の計画を公表し、中国側も対抗して600億ドル分を引き上げるとした。さらにトランプ米大統領は中国のファーウェイを念頭に、米企業に対し安全保障上の脅威があると認める通信機器の使用を禁じる大統領令に署名した。世界経済に大きな影響を与えている米国の「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と中国「BATH」(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)のメガテック8社の間でも、貿易戦争による明暗が生じそうだ。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授に聞いた。

 ――米国の対中関税「第4弾」は昨年7~9月に発動した1~3弾と違い、スマートフォン(スマホ)などIT製品など消費財が全体の4割を占めます。

 「米国の消費者にも影響が大きいことから、トランプ政権にとって最後の切り札といえます。政治・経済・社会・技術の4分野を同時に戦略分析する『PEST分析』を用いると、今回の争いの構図は(1)軍事力・安全保障を含む国力(2)米国式、中国式資本主義の違い(3)自由と統制の価値観の違い(4)テクノロジー覇権、の4分野での争いであると捉えることができます。『中国リスク』が顕在化したわけです。貿易戦争だけに限定すれば、比較的短期のうちに収束する可能性もありますが、安全保障やテクノロジー覇権に関する部分での長期化は避けられません」

 ――6月に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会議で、第4弾の課税は回避されるという見方も出ていますが、予断を許しません。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争が深刻になれば、米国の経済成長率は最大0.6ポイント、中国も同1.5ポイント下振れするとしています。実際に関税が発動された場合、米中メガテックにはどういう影響が出るでしょうか。

 「最も深刻な影響が出るのは米アップルです。ハード事業の比率が約4割と高く、中国での生産規模も大きいため身動きが取りにくいのです。高いブランド力を持つiPhone(アイフォーン)は、ほかのメーカーと比べ利益率が非常に高く、しかも利益の大半は設計と販売を担うアップルが手にしています。スマホに対する25%の関税は中国企業よりも、アップル本体や部品メーカーに与える影響が大きいでしょう」

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