BizGateリポート/経営

糸井重里×藤野英人の「場」ビジネス 日経CNBC20周年対談イベントから

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 ――経営の継承については

 藤野:矛盾した2つのことを考えています。「無限に生きること」と「あす死んでもいいように」です。ウォーレン・バフェットは87歳、同僚のチャーリー・マンガーは94歳で、2人で世界の金融を支えています。僕は52歳。もうひとつは「明日自分が死んでも会社が回るようにしたい」と思います。「ひふみ」というファンドを立ち上げ、多くの人にそれを持っていただいているので、自分が死んだから終わりという組織にしてはいけない。

 糸井:どこで引くかは、計画に合わせやっているつもりです。私は指針の「おもしろく」の仕事をした方が稼げると思っています。おじさんの立場で、なんであのおじさん毎日いるの? と、ちょっと迷惑な老人になって、ほぼ日の通いをやるのが僕の夢です。

 藤野:創業者としての役割はずっと果たさなければなりません。社長としてはいろんなかたちがあるので、社長でなくてもいいのかもしれない、という意味では、糸井さんと似たところがあります。ファンドマネージャーとしての方が、社長よりも上手いかもしれない。それも捨てて社長でもない、ファンドマネージャーでもない、「資本市場を通じて社会に貢献する」ということだけに特化した存在になる、というのはあると思いますね。

自分の持っているものを在庫にしない

 ――最後に一言。

 藤野:いつも営業報告書に「全力を尽くします」と書いています。自分の感性をフルに使う、という意味で全力を尽くすと言っています。全力を尽くす対象を見つけることができるかどうか。それは仕事でもよいし、趣味でもよいし、もしくは愛する対象でもよいけれども、そういう存在があると、人は生きる意味を感じることができるし、がんばることができます。お金の量もある程度大切ですが、自分は何をいきいきとやりたいか、どう生きていくのかが、とても大事であると思っています。

糸井:ビートルズが、ある時英アルバートホールで演奏会をしました。貴賓席に女王様をはじめ素晴らしい方たちが並んで、下の席は普通の人たちでした。その会場でジョン・レノンが、「普通の席の人たちは拍手をお願いします。上の席の人たちは宝石をジャラジャラ鳴らしてください」と言いました。リズムを刻むということでは手拍子も宝石を鳴らすことも同じ価値です。ジョン・レノンの呼びかけは、セレブたちを嫌な気持ちにさせず、双方の席の人たちが小さな皮肉で笑いあえ、一緒に演奏を楽しむことができました。

 私にはこのような気持ちがいつもあります。自分が持っている力を何かで活かすことができるとき、人は一番うれしい。「力」を持っている人は「力」を発揮する。雪の日に「雪かき」をするのも人の役に立つこと。藤野さんのように、資本市場でもっとお金があればもっとできるのにという人をお金で助けるのも、宝石をジャラジャラ鳴らすようなことだと思います。 自分のもっているものを在庫にしないで生きていったら、すごくおもしろくなる、すごくいきいきするのではないかと思います。素人社長ですけれど、ビートルズになったつもりで、こういうお話をしたいと思いました。(2月1日、東京・大手町の日経ホールで)

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