変革のカギを握る「コラボレーション主導型CMO」とは

日本のマーケティング 進化を妨げるのは何か アクセンチュア インタラクティブ マネジング・ディレクター 望月 良太

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 第1回と第2回では、アクセンチュアの調査に基づいて、マーケティングに求められる役割が広がり、一貫した顧客体験の提供が重要になっていること、CMO(最高マーケティング責任者)には社内を横断的に連携させるコラボレーション主導型CMOとしての役割が求められているということを解説しました。

 第3回からは、同調査を日本企業の現状に照らし合わせて、日本におけるマーケティング環境の変化やマーケティング業務の課題をまとめるとともに、その課題解決に向けてCMOという役割を再定義します。アクセンチュアの調査では対象国に日本は入っていませんが、筆者が普段接している事業部、宣伝部の役員クラスの方々のお話を踏まえますと、この調査の本質の多くは日本企業にも当てはまります。

日本企業のCMOポジショニングは2段階遅れている

 まず、日本企業におけるマーケティングに関する現状を認識しておきましょう。

 第一に、そもそも日本企業はCMOをあまり任命していないという現状があります。少し古い調査ですが、2014年に経済産業省が発行した資料によると、CMOを任命している企業の割合は、米国が62%(フォーチュン500社ベース)なのに対して、日本は0.3%(時価総額上位300社ベース)であり、大手日本企業でさえCMOがほとんどいないということがわかります。

 第2回で紹介した「コラボレーション主導型CMO」へ進化したCMOが世界の最先端だとすると、CMO不在の企業が多い日本は2段階遅れているということになります。その結果、CMOが主導すべき、全社を挙げてのマーケティングも機能していないという課題が生じているのです。

日本はプロダクトアウト志向が強く、マーケティング部門の地位や発言力が弱い

 第二に、日本企業ではマーケティング部門の社内的な地位や発言力が弱いという現状があります。

 人口が増加し需要が右肩上がりで拡大していた時期において、マーケティングはそれほど重要ではなく、モノを作ればとにかく売れた、と言っても過言ではありません。メディアの選択肢も少なく、生活者が入手できる情報量も限られていた状況では、マス広告を打てば、高い技術力に裏打ちされた高品質な日本製品は売れたわけです。一方で人種、言語、宗教などについて多様な人たちが集まる欧米諸国では、メディアの細分化が進みました。日本のようにマス広告を活用し、拡大する需要を効率的に刈り取るというモデルが通用せず、必然的にマーケティングが進化を遂げました。

 現在も、日本の企業には「良いものさえ作れば売れる」というプロダクトアウト志向が根強く残っているように思います。CEO(最高経営責任者)を含む執行役員や宣伝広告部門の部長の方々と話をする際に感じるのは、強い製品・サービスを持っている企業ほど、マーケティング志向が弱くなり、マーケティング機能が営業部門のサポートに留まっているケースが多くみられます。マーケティング部門が営業部門の中に組み込まれている企業も少なくありません。

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