少子化する世界

少子化対策先進国フランスで出生率が3年連続低下した理由 日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャー 村上 芽

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 村上芽氏が著した書籍『少子化する世界』(日本経済新聞出版社)から4回にわたり、少子化における世界の現状について報告する連載。第2回では、先進国の中で出生率が比較的高いフランスの現状をみる。2006年以降、フランスにおける出生率は2.00前後で推移してきたが、2017年に1.88と、2002年並みに逆戻りしてしまった。その理由を考察するとともに、フランスで女性が子どもを産む5つの条件をまとめる。

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3年連続で低下したフランスの出生率

 フランスは、少子化対策の成果の出た先進国として広く知られている。2018年1月、そのフランスの出生率が3年連続で低下したというニュースが話題になった。2018年1月1日現在、フランスの人口は6718万人だった*1。前年比較、自然増(出生数と死亡数の差がプラス)が16.4万人、社会増(移民純増)が7.9万人と推計されている。自然増が続いているが、この増加分は、史上最低の水準となった。

*1 フランス国立統計経済研究所(Insee)。出所:https://www.insee.fr/en/statistiques?theme=0

 2017年中に生まれた赤ちゃんの数は72.4万人で、前年比2万人減った。2017年の出生率は3年連続で減少し、2016年の1.92から1.88となった。地域別にみると、出生率が1.8より低いのはパリ市や南西部のボルドー地方の一部とコルシカ島で、2.1より高いのは、パリ市周辺部、ローヌ地方の一部、他の海外領だけであった*2。

*2 フランス国立人口研究所(Ined)[2017]“Recent Demographic Developments in France:Marked Differences between Departments”. 出所:https://www.ined.fr/fichier/rte/41/2017-4EN_Conjoncture_BretonEtAL.pdf

 2006年以降、フランスの出生率は2.00前後で推移してきた。先進国で出生率2.00をキープしている国は少ない。2016年に、OECD加盟国で2.0を超していたのはイスラエル(3.11)、メキシコ(2.18)、トルコ(2.05)の3カ国のみだった。そのため、フランスは少子化対策の優等生といわれてきた。

 しかし、2017年には1.88と、2002年並みに逆戻りしてしまった。フランスは、2008年の経済危機以降も出生率の高さを誇っていたことから、この結果は「フランスも例外ではなくなった」と受け止められている。

 3年連続で低下したといっても1.88と、日本で政府のいう「希望出生率」の1.8をさらに上回り、日本では1975年(1.91)以来記録していない高いレベルではある(もちろん、実人数でいえば、日本は全体の人口が多い分、赤ちゃんの数も多い)。「1.8」がどういう感覚かというと、女性5人組を思い浮かべてほしい。1人は、産まないと決めたシングル派。残り4人が全員2人ずつ産んだとしても、5人の平均を取れば、子ども8人対女性5人なので、8÷5=1.6となる。逆算すれば、1.8×5=9、9人の子どもを4人で産めば1.8が達成できる。女性3人が2人ずつ産み、1人が3人産めば、2×3+3×1=9人となる。

 この計算を聞いて、「あ、それなら簡単」と思うか、「到底無理」と思うか。筆者は「到底無理」派だ。1.6だって「相当すごい」というのが、自分の周りの30~40代をみて感じるところである。

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