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米の対中関税引き上げに中国も対抗へ、投資の留意・着眼点はここだ 経済アナリスト 田嶋智太郎

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 去る5月7日、令和の時代がスタートして初めての株式取引が行われた東京市場では、日経平均株価が10連休前(4月26日)の終値に対して300円超の下落という、なんとも残念な幕開けになってしまった。

 その前々日、5月5日にトランプ米大統領が中国に対する関税引き上げの方針を突然表明したことが、やはり何より大きい。周知のとおり、8日には米通商代表部(USTR)が関税上げを正式に通知し、中国政府も対抗措置を取る方針を表明したと報道されている。

 このように再燃した米中対立の行方は「神のみぞ知る」であるが、どのように転んだとしても国際金融相場は大きく上下に振れる可能性が高いと見られる。すでに、ある程度は相場に織り込まれた部分もありそうだが、すべてというわけには行かない。そこは冷静に現実と向き合い、慎重かつ適切に対応して行くしかなかろう。

 ときに大和総研の経済調査部は5月7日、「『米中冷戦』再開の政治経済分析」というレポートを発表し、そのなかで「仮に米国が対中関税を25%まで引き上げる決定を下した場合、GDPの下押し効果は中国▲0.22%、米国▲0.28%、日本▲0.02%となる(大和総研のマクロモデルを用いた試算)」とした。さらに、日本にとって最も危惧(きぐ)されるのは「二次的効果」である点に触れ、それは「中国から米国に輸出されている電子機器を生産するために必要となる部材や資本財の対中輸出が顕著に減少する効果」であるとしている。

 ただ、その一方で「米中冷戦が深刻化するほどに同盟関係が重要となり、米国による対日関税の引き上げリスクが後退する」ことや、米中が関税を相互に賦課することで「日本における代替生産が増加する『代替効果』が日本経済にとって言わば『漁夫の利』となりうる点」にも触れている。それらを現実的に勘案したうえで日本経済や国内企業の「正味の実力」について、あらためて分析・評価して行くことが肝心と言えよう。

 そこで、今回は当面の国内株式相場における潮流変化の可能性について想定したうえで、仮に米中の経済成長が少々鈍化する方向に傾いたとしても、着実に収益拡大の道を拓(ひら)いていく企業やセクター、注目のテーマや投資のチャンスなどについて考察しておきたい(図表1)。

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