誤解だらけの健康管理術

連休疲れ?五月病? 産業医が教える要相談のサイン 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 入学や入社のために受験や就活で頑張り、無事に入学、就職して新しい環境に入った後、メンタルな症状が出ることは、一般的に五月病と呼ばれます。5月に令和を迎え、10連休となったゴールデンウイークが明け、学校や職場に戻るあたりから、この五月病の人が出てくることが懸念されます。

ベテランにも起きる

 ベテランであっても、新しく昇進した人、あるいは異動や転勤となった人にも当てはまる可能性があります。55歳を過ぎて、役職を解かれたり、60歳を迎えて、雇用や業務内容、処遇が変わったりした場合も同様です。

 五月病は医学的な病名ではありませんが、新しい環境によって、気分の落ち込み、強い不安、焦り、気力が無くなる、または不眠、食欲不振が生じ、強い疲労を感じることもあります。人との関わりがおっくうになり、外出しなくなる場合もあります。これらのケースでは、専門医にうつ状態を指摘され、適応障害等と診断される可能性があります。

 なお、新しい環境としては季節を問わず、結婚や出産も同じです。おめでたいことのはずですが、パートナーと暮らし始めたり、我が子を初めて育てることも環境の変化にあたります。

 若年層による入社後の早期退職が話題に上りますが、何らかのメンタル面の不調を抱えたまま退職していくケースもあることでしょう。新しい環境にうまく適応できれば、多少の症状は徐々に改善していきます。

 環境の変化は人間にとって、重要なことです。生物学的な意味では、変化する自然環境に適応しながら人類は発展し、これまでのところ地球上での繁栄に成功しています。人間社会では、義務教育から高校、大学に進んだり、就職して社会人となって独立していくことは、環境変化を乗り越えることで、もたらされるよい結果でしょう。

 成長の過程で適応できたということは、その人の成功体験となり、自信をもたらし、あるいは心理学的な捉え方としては自己効力感を高め、将来の環境変化への強さをもたらします。

不調を疑うサインに注意

 さて、五月病の中では比較的多いと考えられるのが、適応障害ですが、具体的な症状は以下のように、何となく調子が優れないというレベルを超えています。

・精神的な、情緒の面

 ▼抑うつ(気分)、強い不安、イライラや怒りの感情、絶え間ない焦り、強い緊張、作業等の場面で考えがまとまらない 等

・身体的な面

 ▼動悸(どうき)、発汗、手の振るえ、めまい、ふらつき、息苦しさ 等

・行動の面

 ▼粗暴な飲み方、暴言・暴力、無断欠勤、怒りっぽくなる、けんかっぱやくなる 等

 適応障害の場合、これらの症状は新しい環境から離れる週末や休日には軽くなる傾向があり、気分が戻ったように感じられることもあります。けれども職場に戻るとこれらがぶり返してきます。参考までに、うつ病となると週末、休日関係なく、症状が継続します。

 これらの症状が出てくると、日常だけでなく、職業生活に影響が出てきます。精神的・身体的な症状はパフォーマンスに影響するようになります。行動における問題は、職場における人間関係を悪化させ、トラブルを生じ、勤怠不良につながることもあります。

 入社や異動の後、昇進・昇格後等の重要な場面でこうした状態に陥ることは、キャリアや雇用の維持にダメージとなってしまうかもしれません。

 症状を感じた時、医師等の専門家に相談すべきかどうかの目安は、心身の症状が2週間、つまり週末を2回はさむほどの期間、継続して感じられるかを確認します。または症状によって日常や仕事に支障が出ていると感じた場合も要注意です。心身の症状だけでなく、行動面の問題がプライベートや仕事でのトラブルになりそうなケースであれば、一旦立ち止まって具体的な対処を考えなくてはならないでしょう。

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