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通年採用拡大でも重要なリファラル採用、プロが教える成功の秘訣は? 人材研究所 代表取締役社長 曽和利光氏に聞く

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 社員の後輩・友人といった人と人のつながりを通じて新卒・中途入社人材を獲得する「リファラル(紹介)採用」。企業の採用ブランド力・人気度にあまり依存せずに成果を上げられる手法としてここ数年、注目を集めているが、制度をつくったものの形骸化した、計画したほど人材が獲得できなかったというケースも多い。リファラル採用をテーマにした『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)などを著し、この手法に精通する人材研究所 代表取締役社長の曽和利光氏に形骸化などに陥る理由や実際に成果を上げるための秘訣を聞いた。

◇  ◇  ◇

細やかな工夫が必要になるが、それに気づいていないと失敗

――経団連は新卒学生の就職活動について通年採用を広げることで大学側と合意しました。リファラル採用の重要性に変化はありますか?

 リファラル採用は新卒採用においては「就活後ろ倒し」の対策として広まった側面があり、この合意で、いったんはこれまで通りに、エントリーシートを提出して会社説明会から選考に流れる「普通の採用」に回帰するところが増えると思います。しかし、リファラル採用は基本的に強力な手法です。就活時期がいつになっても継続して活用していく会社が採用競争において勝つと思います。

――リファラル採用は制度を作ること自体は簡単ですが、実際に運用を始めてみると期待した成果を得られないことも少なくないようです。なぜでしょうか。

 細やかな工夫が必要になるのに、それに気づいていない会社が多いからだと思います。

 まず、採用候補者の紹介者が感じる面倒臭さをいかに下げるかが重要です。通常の採用では、会社説明会を開いたりインターンを募集したりして採用したい人に会社へきてもらいます。リファラル採用においても、それと同じような感覚で、「採用候補者を会社へ連れて来てくれ」と紹介者に頼むと、これがもうだめなのです。そうではなく、紹介者には「候補者に人事などが連絡してもよいという許可だけを取ってくれ」と指示するような工夫が欠かせません。

 採用候補者の興味を高める工夫も欠かせません。私は「受け皿企画」と呼んでいますが、採用候補者が気軽に参加できる、業界セミナーや就職支援講座のような最初の出会いの場を設けるのがその例です。そもそも志望度の低い人を採用できるのがリファラル採用ですが、それ故に会社説明会のような自社だけを対象にした場に、採用候補者は興味を持ちません。もちろん、最終的には自社に興味を持ってもらわないと採用には結び付きませんが、最初の出会いの場はできるだけ参加してもらうことを優先して企画します。飲食店など採用候補者に魅力的な場所で会う、面談の際の交通費を支給する――などでも参加意欲を高めることができます。

 ほかにも受け皿企画への参加を募るメールの送り方などに多数の工夫があります。一つひとつはたいしたことはありませんが、全部を積み重ねて愚直かつ丁寧にやることで、私がお手伝いさせていただいているリファラル採用の場合、起点となる採用候補者から10倍ぐらいの候補者に会えるのが普通です。

――リファラル採用を行う会社のなかには、紹介者へ金銭的なインセンティブを支払うところがあります。この金額を増やすと採用実績は増えるのでしょうか。

 インセンティブはプラスには働きますが、それだけでは不十分です。なぜならリファラル採用の成否は、最終的に人と人との信頼関係の強さが決め手になります。自分の信頼する先輩などに「就職セミナーがあって良い話が聞けるから、だまされたと思って行ってみろ」と言われ「行ってみようかな」と思うところがポイントであり、インセンティブがメインの問題ではありません。参加を打診してきた紹介者に対する信頼感があまりなかったり、参加を打診する紹介者のモチベーションがあまり高くなかったりしたら、成功はあまり見込めません。インセンティブを制度に組み込むのは比較的簡単ですが、リファラル採用の中心にあるのは、あくまでも人と人との信頼関係です。

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