ロジスティクス4.0 物流の創造的革新

進む物流の装置産業化、IoT・AI・ロボティクスで根幹から変革へ ローランド・ベルガー プリンシパル 小野塚 征志

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ロジスティクス3.0―管理・処理のシステム化

 1970年代に入ると、第3の革新である「管理・処理のシステム化」の萌芽が見え始めます。「荷役の自動化」までは、物流の実作業そのものを対象としたイノベーションであり、荷物や機械の管理・処理に関する業務は人手に頼ったままでした。極端にいえば、全ては書類と台帳で管理・処理されていたのです。一部の大企業を中心とした基幹業務のシステム化は、この状況に変化をもたらすこととなりました。

 WMS(Warehouse Management System/倉庫管理システム)は、倉庫内の在庫の数量を管理するためのシステムとして導入されました。在庫管理台帳の代わりだったわけです。物流会社からすれば、荷主に対して「保管料や入出荷料を請求するためのシステム」といえます。現在では、在庫の数量だけではなく、入荷から格納、ピッキング、検品、梱包までの作業の状況や荷物のロケーションまでもトータルで管理するシステムとして広く活用されるようになっています。

 対して、同時期に導入が進んだTMS(Transportation Management System/輸配送管理システム)は、トラックの配車状況を管理するシステムです。トラックの台数や配車先のみならず、輸配送した荷物の数量と輸配送先の情報を記録できます。WMSを「保管料や入出荷料を請求するためのシステム」と捉えるなら、TMSは「輸配送料を請求するためのシステム」といえます。現在では、WMSと同様、機能の拡張が進んでおり、配車計画の作成や運行状況の管理、実車率・積載率の算出などにも対応しています。

 WMSやTMSの利用が一般化し始めるのは1980年代以降です。オフィスコンピュータの普及やシステムのパッケージ化により導入コストが低下したからです。とはいえ、システム化への感度は企業間・業界間での差も大きく、現在でも台帳での管理が基本となっている事業所が少なからず存在します。WMSやTMSに関してもクラウド化は大きなテーマとなっていますが、オンプレミス(自社内設備での情報システムの運用)からの置き換えだけではなく、潜在市場を掘り起こす余地もありそうです。

 「管理・処理のシステム化」は、企業内の管理・処理業務のみを対象とするものではありません。国際間の輸送における各種手続処理の電子化が進んだのもこの時代です。

 日本においては、1978年にNACCS(Nippon Automated Cargo and PortConsolidated System/輸出入・港湾関連情報処理システム)の稼働が開始されました。NACCSとは、通関や関税の納付などを効率的に処理することを目的に構築された、行政機関、輸出入業者、物流会社、海運・航空会社、通関業者、金融機関などを相互につなぐ情報処理システムです。開始当初は、成田空港を介して輸入される航空貨物のみを対象としていましたが、1985年からは輸出貨物も取り扱えるようになりました。対象地域も拡大しており、成田、羽田、関西、福岡、新千歳、中部といった主要空港はカバーされています。1991年からは海上貨物の取り扱いを開始しており、現在では税関における輸出入手続の約99%がNACCSによって処理されています。

 NACCSは、機能拡充も進んでおり、検疫所や防疫所に対する動植物の検疫手続、港長や入国管理に対する入出港手続、厚生労働省に対する食品衛生手続なども申請・処理できるようになりました。日本における電子的行政手続の草分け的存在であり、輸出入・港湾関連手続のワンストップ化を成し遂げつつあるといえます。

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