誤解だらけの健康管理術

不完全な「職場の健診」、無駄にしない活用法は? 健康企業代表・医師 亀田 高志

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 新年度を迎え職場で健康診断が行われる季節になりました。今回は職場の定期健診の賢い活用法を紹介します。

OECD、日本の健診に駄目出し

 2月初旬、「健診の項目・頻度の見直しを」という見出しで、「経済協力開発機構(OECD)が日本の健康診断や検診の実施方法の統一などを提言する」という内容の記事が日本経済新聞に掲載されました。

 日本人は健診を受ける機会が多いが、費用に見合う効果があるのか、項目や頻度を削減する余地がないのかを見直すべきで、他の先進国と比べて男性の喫煙率の高さや飲酒量が特に女性で増加傾向にある、としています。

 健康診断に偏る対策を、より病気の予防活動にシフトする必要があること、乳幼児、学校、職域で行う健診の項目や実施方法がバラバラであること、無駄と思われる検査や不要なエックス線被曝(ひばく)といったデメリットも生じていること。加えてパートタイムの人が健康管理を受けられないことや、がん検診が職域と自治体で統合されていない問題点も指摘されています。

 これらは、日本の健診や健康管理に対する、いわば駄目出しのように見えます。

 一方で米国予防医学専門委員会による情報では、日本の職場で行われている定期健康診断の各項目に関して、それに該当する評価や勧告を見ることができます。

米国予防医学専門委員会の評価・勧告の抜粋
(1)血圧の測定、身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
a 血圧測定:18歳以上には推奨される
b 肥満検査:すべての成人に推奨される(注:アメリカの場合にはBMIで30以上が肥満に該当)
c 視力検査:65歳以上の高齢者には根拠がはっきりしない。(注:就労年齢の成人は対象外?)
d 聴力検査:50歳以上の難聴の無い成人には根拠がはっきりしない(注:それ以外の年齢の成人は対象外?)
(2)胸部エックス線検査及び喀痰(かくたん)検査
a 結核検査:症状は無いが(注:患者に接する可能性のあるような)リスクが高い成人には推奨される(注:アメリカではBCGの接種は行われていない)
(3)各血液検査
a 貧血検査:妊婦や小児に対しての結論が出ていない。(注:成人は対象外?)
b 肝機能検査:記載なし。医療従事者のようなB型やC型肝炎ウイルスに感染するリスクの高い人には、これらのウイルス検査が推奨される。
c 血中脂質検査:心血管系疾患の発症リスクがある程度高い人には、脂質異常症を検出でき、薬物治療が推奨される。
d 血糖検査:40歳から70歳の肥満傾向の人に心血管系疾患の発症リスクの検討の一環としては推奨される(注:日本人を含む、アジア系の場合にはより若く、肥満傾向が軽くとも推奨される可能性がある)
(4)尿検査(尿中の糖及びたんぱくの有無の検査)
a 尿検査:成人に対する腎臓病のスクリーニングは根拠が不足している
(5)心電図検査(安静時)
a 心筋梗塞や狭心症のスクリーニングは(注:運動負荷心電図を含めて)リスクの低い人には推奨しない。リスクの高い人においても根拠が不足している
※(注)とアンダーラインは筆者補足

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