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イチローさんに学ぶキャリアの重ね方、チャレンジは50代でも遅くない トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 イチローさんは最後にこう述べた。

孤独を感じて苦しんだこと、多々ありました。ありましたけれど、その体験は未来の自分にとって支えになるんだろうと今は思います。つらいこと、しんどいことから逃げたいというのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気のある時にそれに立ち向かっていく。そのことはすごく人として重要なことではないかと感じています。

 50代の今、私の老眼は進み、記憶力はより一層落ちているし、人の名前は10回聴いても覚えられないことすらあるが、それでも、70歳になった時、80歳になった時、間違いなく「50代はまだまだ若かったなぁ」と思うはずだ。

 その未来に向けて、何かに挑戦していくことは、仕事人生から引退した後でも自分の支えになるだろう。

 何歳まで働くか、ということについてぼんやりとしか思っていなかった私は、同僚を見習って、少し遠くにゴールを設定し、そこに向かってこれからもさらに一歩ずつキャリアを積んでいこう!とイチロー選手の会見全文を繰り返し読み、想いを新たにしたのだった。

 …とここまで書いて、校正をしている最中に、イチローさんが「3度目の国民栄誉賞を辞退」というニュースが飛び込んできた。「人生の幕を下ろした時に頂けるよう励みます」と述べたとされている。これからもまだまだ現役のつもりで励むという意味だろう。この言葉に刺激を受けた人も多いのではないか。

一線を退く際、イチロー選手のように

自分なりに頑張って来た。

と私も胸を張って言えるようになりたい。

※イチロー選手のコメントは、「イチロー引退【会見全文・前編】「監督は絶対無理。人望ない」「日本復帰の選択肢はない」」(AERA dot.)を参考にしました。

シニアを部下に持つ管理職へのメッセージ

 企業によっては「役職定年」や「定年」によって役職や立場が変化したシニアにあまり期待をしないという話も聴く。知り合いの50代は、年下上司から「もう役職定年ですし、これからはのんびりしてください。新しい挑戦はしなくていいですよ」と言われ、しょんぼりしていた。

 会社の考えもあるので、一概に部外者がどうこうは言えない。ただ、記事本文中で触れた70歳までの継続雇用が現実になってくると、「50歳を過ぎたのですから、そろそろのんびり」とも「新しい挑戦などしなくていいですから」とも企業側も言っていられなくなるはずだ。「20年近くものんびり過ごしている」層を抱え込んでいる余裕は企業にないからだ。

 だから、何歳だろうと「新しいことに挑戦してください」「ぜひ、若い人に挑戦している姿を示してやってください」と励まして、シニアにもちゃんと成果を出すことを期待したほうがよい。

 ある企業で聴いた話である。社内に毎年数人のMBA(経営学修士号)挑戦枠があって、ある年、55歳くらいの方が応募したそうだ。企業としては、「あと5年で定年退職、再雇用となるような年代の人にMBAを取るための投資をするか?」と議論になったが、その方の上司が「何歳だろうと挑戦したいという人を支援するのが会社のするべきことではないか。それがひいては若い層にも好影響を及ぼすはずだ」と役員などに熱くプレゼンをし、申請を通したという。その後、そのシニアは、MBAの勉強に取り組み、学んだ内容を社内にもフィードバックし、それを見ている若手層も刺激を受けているという。

 「何歳になっても挑戦したいという人を応援する」。そういう上司がいるのは大事なことだと思うエピソードだ。
田中淳子(たなかじゅんこ)
1963年生まれ。トレノケート株式会社 シニア人材教育コンサルタント、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本DECに入社、技術教育に従事。1996年より現職。新入社員からシニア層まで幅広く人材開発の支援に携わっている。著書『ITマネジャーのための現場で実践!部下を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)など多数。ブログは「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。フェイスブックページ“TanakaJunko”。

キーワード:人事、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修、働き方改革

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