生活者の平成30年史 データで読む価値観の変化

平成で進んだ「家族のユニット化」、妻が夫を「名前+ちゃん」で呼ぶ 博報堂生活総合研究所

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「自主選択」にもとづく家族

 「人は結婚してはじめて一人前だ」(図表4―5)という意識は、男女ともに30年間で20ポイント前後減少して2018年では男性27.8%、女性17.0%になりました。また、「夫婦はどんなことがあっても離婚しないほうが良い」(図表4―6)も、男女とも減少傾向にあり、直近で男性55.1%、女性24.4%です。この調査の対象者は実態としては全員結婚していますが、意識としては人は結婚しなくてもいいし、無理してまで結婚を続けることはないという方向に変化しているのです。ここには人の生き方を縛る社会規範の弱まりが表れているかのようです。

 そんな自由な社会では、「結婚する/家族であり続ける」ことの意義も希薄になりそうなものです。しかし、「結婚して良かったと感じるか」(図表4―7、図表4―8)をみると、その想定とは逆になっていることがわかります(この質問は1998年から設定されました)。男性では「とても良かったと思う」の数値が39.7%(1998年)から56.7%(2018年)に増えています。女性でも増分は男性ほどではないにせよ、32.6%(1998年)から38.3%(2018年)に増加。結婚満足度が高まっているわけですが、その意識変化は家庭訪問インタビューからもうかがうことができました。

 「感謝の気持ちと思いやりがなくなったら、夫婦は終わりだと思います。私は夫には感謝しています」(29歳妻)「家族は『当たり前』のものではなく、『感謝するもの』だと思っています」(40歳妻)

 人は概して、好ましくない未来の可能性について目を背けがちなものです。しかし、これらの発言からは、この夫婦や家族が解消される、あるいは形骸化する可能性を十分に認識した上で、だからこそ今の家族関係に「感謝」するようにしているという姿勢がうかがえます。逆に絶対に壊れない関係であれば、大事にすることもないのでしょう。

 自分が「結婚する/家族であり続ける」のは、それが社会の常識でこれからも変えられないことだからではなく、自由な選択肢から自分が望んで選んだのだという意識の高まりがあってのこと。だからこそ、結婚満足度も高まっているといえそうです。

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