生活者の平成30年史 データで読む価値観の変化

平成の家計は停滞、「貯金すればいつか買える」が覆る 博報堂生活総合研究所

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働き方は、正規型から非正規型へ

 誰もが働くようになってきた社会で、雇用形態はどのように変化したのでしょうか。図表2―5の「雇用形態別の雇用者数および非正規雇用者率(男性)」をご覧ください。男性の正規雇用者数は、1990年代半ばをピークに減少傾向で、それを補うように非正規雇用者数が増えています。非正規雇用者率は、1985年の7.4%から2017年の21.9%まで増加傾向が続きます(ただし、非正規雇用者の増加が著しいのは65歳以上の方々です)。

 一方、図表2―6は同じ統計を女性でみたものです。前述の共働き世帯の数(図表2―3)でも示されているように、女性の雇用者数はほぼ右肩上がりです。しかし、その増分の多くは非正規雇用者が占めています。女性のほうが家事・育児などとの両立がしやすい雇用形態を選んでいる側面があるからでしょう。

 男女いずれにしても、平成の間に非正規という選択肢が一般的となり、働き方においても多様性が高まってきたといえます。

進む人生の自由化と多様化

 ここまでは、マクロ統計データを用いて、平成における生活環境の変化を概観してきました。人口構造・世帯構造・家計・就労のいずれの面でも、昭和には誰もが「世の中そういうものだ」と思える標準のかたちがありました。しかし、平成には標準がなくなる事態が社会の様々な側面で起こり、今も進行しています。

 社会の標準がなくなることは、人生における大きな選択の正解がなくなることであり、その前に立ちすくむ生活者も少なくなかったはずです。しかし裏を返せば、これは人生の選択が自由になり、社会全体としては多様になると考えることもできます。

(つづく)

博報堂生活総合研究所 著 『生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化』(日本経済新聞出版社、2019年)、「第1章 平成30年の生活環境」から
博報堂生活総合研究所 https://seikatsusoken.jp/

1981年、「生活者発想」を標榜・実践する博報堂のフラッグシップ機関として設立。人を消費者だけにとどまらない多面的な存在:「生活者」として捉え、独自の視点と手法で研究している世界でも類を見ないシンクタンク。主な活動は、生活者の変化を長期にわたって追う時系列調査や、生活者と暮らしの未来の予見・洞察など。その成果は、書籍はもちろん発表イベントやWEB サイトを通じて、広く社会に発信している。

キーワード:経営層、管理職、プレーヤー、経営・企画、営業、経営、マーケティング

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